北朝鮮軍が「飢えた障害者」を射殺…「それでも人民の軍隊か」国民激怒

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北朝鮮ではこの時期、協同農場の穀物供出を巡り、農民と軍、政府が毎年のように、三つ巴の争いを繰り広げている。特に今年は、コロナ鎖国による肥料不足、相次ぐ自然災害で例年にもまして作況が悪く、数少ない収穫物の取り合いになっている。

そんな中で、ついに人命が奪われる事態が発生した。詳細を平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:軍と国家が一斉に農場を襲う、北朝鮮「食糧難」の末期症状

事件が起きたのは、北朝鮮が誇る大穀倉地帯「十二三千里平野」にある文徳(ムンドク)郡の協同農場でのことだ。軍糧米の徴発にやってきた朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士らは、コメを農民に奪われまいと、警備に当たっていた。

彼らは上部から「命をかけて穀物を守れ」との指示を受け、実弾3発、空砲3発の入った銃で武装。軍糧米に手を出したり無駄にしたりする者がいれば阻止し、従わない場合には発砲してもよいとの指示も受けていた。

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そして10月19日の夜、聴覚障害を持つ42歳の農場員が、苦しい暮らしの足しにしようと、農場周辺で落ち穂拾いをしていた。それを見つけた兵士が銃撃を加え、農場員はその場で死亡した。事前警告の有無は不明だが、行っていたとしても聞き取れなかっただろう。

当該の兵士は、夜11時ごろに脱穀場に忍び込もうとする者がいたので銃撃したと報告した。しかし、現地住民は農場員が射撃された位置は脱穀場から少し離れたところで、無謀にも脱穀場に忍び込もうとするような人ではないとし、兵士の説明に疑問を呈しつつ、あまりのやり方のひどさに憤りを隠しきれない様子だったとのことだ。

「住民たちはいくら脱穀場の周辺でウロウロしていたとしても、人民に銃口を向け即死させる軍人が『人民の軍隊』で『人民の息子』と言えるのかと、内心で怒りを抑え込んでいる」(情報筋)

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北朝鮮国民の間には「軍は人民を攻撃しない」との考えがあるが、それが目の前で裏切られてしまった。普段から「軍民一致」を叫び、軍と人民は助け合うべき存在だと強調している郡党(朝鮮労働党文徳郡委員会)は、今回の事態にかなり狼狽したようで、住民に対してこのことを話題にしないように訴えた。

しかし、軍の問題となると口をつぐんでしまう郡党に、住民は非難の声を浴びせかけると同時に、事件の経緯について調査を行い、軍に責任を問わなければ、同様の事態が再発しかねないと不安感をあらわにしている。

恐怖政治が支配する北朝鮮にあっても、同国民は、理不尽なことにひたすら大人しく黙っているような人々ではないのだ。

(参考記事:「何かがおかしい…」国のやり方を疑い始めた北朝鮮の人々