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北朝鮮には3000人とも言われる華僑が在住している。変化する中朝関係に翻弄されながら、比較的自由に出入国できる立場を利用し、中国で買い付けた商品を北朝鮮で販売するなどして暮らしてきた。

そんな彼らにとって、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大は死活問題となった。北朝鮮当局は昨年1月、ウイルスの流入を恐れ、国境を封鎖してしまったのだ。食い詰めた彼らは、ワイロを積むなどして出国許可を得て、かろうじて中国に逃げ出していた。

先月にも150人の華僑が中国に出国したと、韓国KBSが報じている。相次ぐ出国は、国境と貿易の再開の兆しが見えないことで、北朝鮮を見限った結果と言える。

(参考記事:華僑40人 、コロナ封鎖の北朝鮮から「覚悟の脱出」

デイリーNKの対北朝鮮情報筋によると、先月14日に平安北道(ピョンアンブクト)の新義州(シニジュ)を経て中国の丹東に到着した華僑は、昨年まで「まもなく国境が開き、貿易が再開されるだろう」との期待を抱き、中国に住む親戚や知人からの仕送りを受け取り、北朝鮮で耐え忍んでいたという。

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しかし、貿易は再開されるどころか、見切り発車した貿易会社の社長が処罰される有様。また、華僑たちは、国境線にコンクリート壁と高圧電線が設置され、国境警備が強化されるのを見て、希望を捨て、北朝鮮からの出国を選んだという。

(参考記事:金正恩氏、中朝国境に高圧電線など設置を命令…10月の完成目指す

デイリーNKの取材によると、先月中国に出国した華僑は、平安南道(ピョンアンナムド)と黄海道(ファンヘド)在住で、当局は出国希望者を集めて一度に出国させたとのことだ。国境線から遠く離れた地域にも、コンクリート壁と高圧電線の設置の話は届いていたようだ。

(参考記事:北朝鮮警察系の貿易会社社長、コメと医薬品の密輸で無期懲役

金正恩氏は昨年10月、各道の朝鮮労働党委員会に「華僑は朝中両国の友誼を引き継ぎ、伝統的に輝かせるにあたって重要な宝物」「華僑の事業規定を最大限緩和して、生活で起こるすべての問題を解決してやれ」との1号方針を伝えている。

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それにもかかわらず、華僑の生活苦は解消せず、結局彼らは出国を選ぶことになった。元いた華僑の3分の1が出国したと言われているが、北朝鮮国内では、外部とつながるチャンネルが縮小するのではないかという懸念の声が上がっている。彼らは、当局の嫌う海外情報の国内への流入、国内情報の海外への流出に大きな役割を果たしてきたからだ。

情報筋は「国境封鎖が長引くにつれ、北朝鮮との連絡が取りにくくなっている」「華僑まで北朝鮮から出ていってしまえば、(北朝鮮国内で)どんなことが起きているか、さらに知りづらくなる」と述べた。