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国際社会の制裁、相次ぐ自然災害と対応するインフラの不足、昨年1月からのコロナ鎖国による営農資材の不足など悪材料だらけの北朝鮮農業。そこに、ロジスティクスの抱える問題が加わり、北朝鮮では、1990年代後半の「苦難の行軍」以来の食糧難となっていると伝えられている。

食糧が底をついた「絶糧世帯」が各地で続出。平安南道(ピョンアンナムド)の价川(ケチョン)、新陽(シニャン)、陽徳(ヤンドク)などの農村地域では、約3割に達している。

(参考記事:「国家存亡に関わる」金正恩が招いた”絶糧状態”という本物の危機

あまりの惨状に、金正恩総書記は軍糧米を放出して配給を行うよう特別命令書を出したと伝えられているが、配給は行われても有償。おりからの経済難でその負担すらできない人が続出している。そんな中、2回目となる食糧配給が行われたと、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

(参考記事:「泥炭入りパンを作れ」食糧難の北朝鮮が断末魔の呼びかけ

道内の三水(サムス)、金亨稷(キムヒョンジク)、金正淑(キムジョンスク)の各郡、咸鏡北道の会寧(フェリョン)、穏城(オンソン)など、中国との国境に接する地域では今月1日から、絶糧世帯に限定して食糧の配給が行われた。

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各道の朝鮮労働党委員会と、道人民委員会(道庁)は先月中旬から下旬にかけて、住民生活についての調査を行った。食糧、燃料、「トゥエギバッ」(個人所有の畑)の所有の有無、学校の登校状況などについて、各世帯の生活実態について詳しく調べた。

党委員会、人民委員会はさらに、地域の人民班長(町内会長)との面談を行い、絶糧世帯を把握、1世帯あたり20キロのトウモロコシ、家族数の多い場合は25キロを配給することにした。コロナ禍にあることを考慮し、人民班長と一部の世帯が代表して国家食糧販売所(国営米屋)で受け取り、リアカーで村に持ち帰り、絶糧世帯に配給する形が取られた。

配給されたものは古く湿気ていてカビの生えたものだったが、それでも日々飢えている人にとってはこんなにありがたいものはない。ただし、無償ではなく、前回同様に市場価格より2割ほど安い価格での有償配給となった。つまり、そんなものでも買えないという人がいるということだ。

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今回、対象を絶糧世帯に絞った理由について、当局は「金持ちにまで安値で配給できない」と明らかにしている。配給に必要なチケットを買い集めてコメを購入、市場で売りさばくなどして差額を儲けているトンジュ(金主、新興富裕層)がいると言われているが、そのような転売ヤー対策として対象を絞ったのだろう。また、売り物にならないようなトウモロコシを配給したのも、その一環と考えられる。