「国家存亡に関わる」金正恩が招いた”絶糧状態”という本物の危機

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北朝鮮は新型コロナウイルスの国内流入を恐れるあまり、昨年1月末から国境を封鎖し、貿易を停止するという極端なコロナ対策だ。市場で売られている商品の9割が中国製と言われている北朝鮮で、このような対策が取られるといかなる結果をもたらすかは火を見るよりも明らかだった。

金正恩総書記15日の朝鮮労働党中央委員会第8期第3回総会で、「人民の食糧状況が緊張している」と認めた。金正恩氏はその原因として台風被害を挙げたが、実際にはより構造的な問題がある。

災害などで深刻となった食糧不足が、禁輸による外貨・燃料・営農資材の不足による農業不振でさらに悪化するという悪循環に陥っているのだ。先月から品物の輸入が段階的に行われるようになるとの話もあったが、まだ本格的な再開には至っていないようだ。

そんな中で、「絶糧世帯」が増えていると、平安南道(ピョンナンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えてきた。「絶糧世帯」とは、食糧が底をついた家を指す北朝鮮の用語だが、いかなる状況なのだろうか。

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先月から貿易が再開されるとの期待が裏切られ、今月に入ってから耐えきれなくなった人々が、家を売り払い、食べ物を求めて各地をさまよい歩く現象が表れ始めているとされる。1990年代の大飢饉「苦難の行軍」を彷彿させる状況だ。

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元々この時期は、前年の収穫が底をつく春窮期(端境期)。毎年のように絶糧世帯が出ていたが、春窮期突入にコロナ鎖国が合わさってさらに増えたようだ。絶糧世帯は、道内の价川(ケチョン)、新陽(シニャン)、陽徳(ヤンドク)などの農村地域を中心に急増、情報筋の見立てでは、約3割に達した。

「最近になって都会でも農村でも耐えきれる限界を越えた人が増えている。このまま封鎖(コロナ鎖国)が続けば、国全体が苦しくなるとの話が耳に入ってくる」(情報筋)

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ちなみに昨年3月、別の情報筋は、道内の安州(アンジュ)のある協同農場では通常より半月から1ヶ月ほど早く5%が絶糧世帯となり、4〜5月には2〜3割、最悪の場合は半数に達しかねないと伝えているが、今年はさらにひどい状況になる可能性がある。

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絶糧世帯と家を捨てる人が増えている理由として情報筋が挙げたのが、商品の代金を巡るトラブルだ。多くの人が市場での商売で現金収入を得て暮らしている北朝鮮だが、昨年1月の国境封鎖で、商品の入荷がストップ。商品や代金を受け取れなかったり、渡せなかったりする商人が続出し、その催促に耐えかねて、家を売り払って出ていくというのだ。

道内で、輸入した食用油を売っていたある商人は、商品の代金が払えなくなり、トウモロコシ粥で糊口をしのいでいたが、次第にトウモロコシをツケで売ってもらえなくなり、借金もできないほど追い詰められた末、家を売り払ってしまったという。その行末は不明だが、おそらく町を出て、現金収入が得られる別の地域に去っていったのだろう。

(参考記事:コロナ不況で食い詰めた人々が目指す北朝鮮の「黄金郷」

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今年1月には、商品の代金決済を巡るトラブルから、一家3人が射殺される惨事が起きている。道内の徳川(トクチョン)で、中国製の家電、農業機械、営農資材の卸売りを行っていた業者Aさんの一家は、両江道(リャンガンド)恵山(ヘサン)の密輸業者Bさんの家に押しかけ、先払いの代金を返せと居座った。このことからケンカとなり、Bさんの用心棒を務めていた国境警備隊の隊員が、Aさん一家3人を射殺したのだ。

(参考記事:「そのとき誰かが引き金を…」パニックの北朝鮮一家が全滅の悲劇

北朝鮮庶民をさらに苦しめているのは、食糧価格の高騰だ。首都・平壌では今月8日の時点で、1週間ほど前と比べてコメ1キロの価格が2割以上上昇、トウモロコシ1キロも、3000北朝鮮ウォン(約54円)を記録した。

(参考記事:外貨使用禁止令に為替レートの急激な変動…混乱気味の北朝鮮経済

朝鮮労働党機関紙・労働新聞は昨年1月29日、新型コロナウイルス対策は「国家存亡に関わる重大な政治的問題」であるとする記事を掲載したが、皮肉にも、過度な対策がコロナとはことなる「国家存亡の危機」を招いている状況だ。

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