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北朝鮮国民の一年は、苦難と共に明ける。肥料不足が深刻な北朝鮮では、その穴を埋めるために、新年早々から全国各地で糞尿を集める「堆肥戦闘」が繰り広げられるからだ。

とてつもない量の糞尿を納めることを求められるため、ノルマを達成するために、市場で糞尿が売買されたり、糞尿泥棒が多発したり、糞尿を納めたという証明書を偽造するブローカーが暗躍したりなどの珍光景が繰り広げられる。

(参考記事:一人あたり500キロの人糞集めから始まる北朝鮮の新年

そんな堆肥戦闘も、例年なら終了して肥料が畑に撒かれるころだが、今年は未だに続いているようだ。追加で命令が下されたからだが、北朝鮮国民からは「呆れた」との声が上がっている。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の農業関係者によると、道の農村経理委員会から道内の農場に対して最近、肥料供給のための堆肥生産課業(ノルマ)が割り当てられた。それに基づいて、農場が農民にこんな指示を下した。

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「1人あたり2リットルの尿を毎日納めよ」

深刻な肥料不足に苦しめられている各農場は、上部に解決を訴えたが全く聞き入れられず、現場での解決を求められた。苦し紛れに出された指示というのが、「尿供出令」だ。

腐植土と混ぜて堆肥を作るのに欠かせないもので、毎日2リットルの尿を納め、帳簿にサインをもらう。これは、堆肥生産の目標が達成されるまで続けられるという。

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農場管理委員会は、今年1月の朝鮮労働党第8回大会での決定事項の貫徹のために、堆肥戦闘を行えと農民に迫っているが、生理現象なのにそんなに都合よく出るわけではないだろう。そもそも、成人の1日の尿の量は1リットルから1.5リットルで、年を取れば量が減る。それでも規定量に満たなければ「小便が足りない!」と批判されるという、笑えないコントのような光景が繰り広げられているとのことだ。

昨年来停止されていた貿易が先月からようやく再開され、肥料の輸入も始まっているが、その行き先はおそらく金正恩総書記やその一家、最高幹部らの口に入る野菜を作る特別な農場。一般の農村にまで届くことはないだろう。そもそも、貿易が盛んに行われていたコロナ前でも、肥料は常に不足しており、堆肥戦闘が毎年続けられていた。

(参考記事:1年以上ぶりに輸入を再開した北朝鮮、輸出はなお停止状態

西隣の両江道(リャンガンド)でも、同様の状況のようだ。現地の情報筋によると、腐植土に混ぜて堆肥を作るために、1人あたり2リットルの尿を納めるように強いられ、毎朝、小便を入れた容器を持っての出勤を余儀なくされている。

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農民の間からは、3月に労働新聞に掲載された内閣事業報告、農村に対する国家的支援を強化すると約束していたのに、話が違うと反発の声が上がっている。一方で、種まきの時期を逃すまいと、必死に尿を集めて腐植土を混ぜて、先月末までにノルマを達成した人もいるという。

農民をこき使って堆肥を確保したところで、他の営農資材は依然として不足しており、個人耕作地を没収する政策で農民の生産意欲は低下。さらに近年に入って自然災害も頻発しており、農業生産の計画達成は容易ではないだろう。

(参考記事:無茶な穀物生産ノルマを押し付ける北朝鮮、農場からは心配の声