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昨年1月から続く北朝鮮の国境閉鎖と貿易停止。食品や生活必需品の多くを中国からの輸入に頼っている実情を無視したコロナ対策で、国民の生活は疲弊する一方だ。

地方とは比べられないほど生活レベルの高い首都・平壌でも、昨年から食糧配給の遅配が起き始めていたが、最近の様子はいかなるものか。

(参考記事:「金正恩の首都」が飢え始めた…軍の備蓄放出でも足りない食糧) 

ロシアのアレクサンドル・マツェゴラ駐北朝鮮大使は、ロシアのインターファクス通信とのインタビューで、現在の平壌での生活状況について述べている。

コロナ対策の制限下での生活について問う質問に、他の国同様に楽ではないと答えたマツェゴラ氏は、昨年8月末までは防疫委員会の許可を得た重要物資の輸入は行われていたが、台風に襲われた昨年9月以降はそれも遮断されたと述べた。

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また、輸入停止は北朝鮮国民、外国人の双方に悪影響を与えており、昨年1月以降、外国人は平壌市外への移動、市内の公園、博物館、プール、公共交通機関の利用を禁じられ、子どもたちは学校にも行けず、大使館の敷地内から出ることすらできないとも述べている。

買い物は指定された300店舗の商店、1カ所の市場に制限されている。当初はそれでも充分だったが、時が経つにつれ、食糧が不足するようになり、パスタ、小麦粉、食用油、砂糖、衣類や靴の購入も難しくなり、価格は国境封鎖前の3〜4倍となったという。それでも、飢えに苦しむまでには至っていないと、生活困窮のリアルな現状を明らかにした。また、医薬品は不足していて、万が一の際に、急遽ロシアに帰国することもできないとも述べている。

建物に入るには、マスク、手指消毒、検温が求められ、5人以上に集まりは禁止され、集まっても午後9時までには解散しなければならないとのことだ。

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昨年には、平壌駐在の大使館や国際機関の職員の多くが撤収し、ほとんどの大使館は1〜2人程度の人員だけ残して、実質的に活動を停止している。ロシア大使館でも、複数の外交官と家族が帰国したとのことだ。

外交官の状況について、スペイン外務省の関係者は、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)のインタビューに、EU加盟国の大使館で人員が残っているのは4カ国だけだと明らかにしている。ブルガリア外務省は、平壌の自国大使館は運営を続けているが、残っている外交官は1人だけと明らかにした。現在でも活動を続けているのは、中国、ロシア、ブルガリア、ルーマニア、チェコ、ポーランドなど、旧共産圏国家に限られると、RFAは伝えている。

また、北朝鮮在住の華僑の脱出も続いており、中国のデイリーNK情報筋は、平壌在住の華僑40人が中国に脱出したと伝え、RFAの平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋は、金正恩総書記の指示に基づき、道内在住の華僑140人が中国に出国したと伝えている。

(参考記事:華僑40人 、コロナ封鎖の北朝鮮から「覚悟の脱出」

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マツェゴラ大使は、「見えない敵(ウイルス)」はいつ侵入してくるかわからず、金正恩総書記も充分な医療インフラがないことを公式に認めているとして、北朝鮮の国境封鎖の背景を説明した。

また、ロシアを含む外国との入国地点に現在、輸入品の安全性を確保するために大規模な消毒施設が建設されていると明らかにし、まもなく商品の輸入が限定的ながら再開されるだろうとの見通しを示した。