「金正恩の首都」が飢え始めた…軍の備蓄放出でも足りない食糧

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北朝鮮当局が、滞っていた平壌市民への配給を解決するため、軍の備蓄食糧を一部放出したことがわかった。

平壌在住の情報筋は25日、韓国デイリーNKに対し「最近、滞っていた7月分までの配給が一度に行われた」と伝えた。しかし、8月分の配給がどうなるかについて、当局からは発表がないという。

1990年代後半の大飢饉「苦難の行軍」の時でさえ行われていた平壌市民に対する食糧配給は、このところ数カ月にわたり止まっていた。平壌のデイリーNK内部情報筋は6月、今年に入って配給が行われたのは3月までで、それ以降は止まっていると伝えた。その3月の配給も、1、2、3月の3ヶ月分をまとめて行い、1ヶ月分の量も12日分に減らされ、コメではなくトウモロコシが配られる有様だったという。

長期にわたっている国際社会からの経済制裁と、新型コロナウイルス流入遮断のための国境封鎖が影響していると見られる。

朝鮮中央通信によれば、金正恩党委員長は6月7日に行われた朝鮮労働党中央委員会第7期第13回政治局会議で、「首都市民の生活保障において早急に解決すべき問題を具体的に指摘し、住宅建設をはじめとする人民の生活保障に関する国家的な対策を強く立てることについて強調した」という。

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ここで言われている「早急に解決すべき問題」には食糧配給の停滞も含まれると見られるが、だとすれば、金正恩氏が直々に解決を指示してから、今月の配給実施まで2カ月を要したことになる。北朝鮮の台所事情がいかにひっ迫しているかを物語っている。

「苦難の行軍」の際、庶民は盗みや売春など、生き伸びるための手段を選ばなかった。今や金正恩体制のエリートたちまでが、似たような境遇に追いやられているのかもしれない。

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今回の配給では4~7月分が配られたが、エリート層と一般市民とで、配給の量に差をつけたもようだ。情報筋によれば、「中央機関、軍、安全部(警察)、保衛部(秘密警察)、検察所、裁判所、大学教員などにはコメとトウモロコシを混ぜたものを、本人20日分、家族15日分を1カ月分として配った。一般市民に対しては10~12日分が1カ月分として配られたが、トウモロコシの比率が高かった」という。

十分な量を確保できなかったことによる苦肉の策と見られるが、それさえも「軍糧米と首都米(首都用の備蓄米)、輸入米を合わせてようやく間に合わせたようだ」という。

こうした現状の中でも平壌市民たちは「(水害などの)自然災害が続く中、元帥様(金正恩氏)が被災地を心配して現地指導を行っている中で、配給が少なくとも不平をこぼすのははばかられる雰囲気だ。首都の人々は思想的に武装し、国家と苦難をともにしてこそ(平壌からの)追放を免れると考えている」(情報筋)。

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しかし、平壌市民の生活の苦しさは、いよいよその度を増している。

「最初は郊外区域の人々が苦しくなり、飢えるようになったが、最近では都心区域でも『苦しい』との声が聞こえる。郊外の山野で、畑を耕すべきか悩む人々も出始めた」(同)

今回はどうにか配給を行うことができたが、同じやり方を続けるのは難しいだろう。金正恩氏に、300万首都市民を養う妙案はあるのだろうか。