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北朝鮮が新型コロナウイルスの国内流入を防ぐ目的で、国境を封鎖し、貿易を停止してから1年が過ぎた。加工食品、生活必需品、電化製品など、多くの商品を中国からの輸入に頼っている北朝鮮にとっては、極めてダメージの大きい措置だ。

それでもこの措置に踏み切ったのは、医療インフラが整っておらず、国内でコロナ感染が広がりでもすれば、体制そのものが脅かされかねないからだ。

売る製品が輸入できなくなったことから、収入のほとんどを市場に依存している北朝鮮の人々にとっては、「生活」ではなく「生存」をかけた1年となった。現地の状況はいかなるものなのだろうか。

(参考記事:【北朝鮮国民インタビュー】突然のロックダウンで生活困窮、餓死者も

デイリーNKは、市場で食料品を売る「チョンさん」とのインタビューを行い、過去1年間の市場の変化と現状について質問した。

ー国境閉鎖前と後で、北朝鮮の市場の変化は?

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チョンさん:最も大きな変化は、運営時間が短くなった点だ。現在、市場は午後2時から午後6時まで開かれている。昨年4月からこのような制限が行われている。たった4時間でその日の商売を終えなければならないなんて、ひどいやり方だと思う。その分だけ収入が減った。今では毎日市場に出られるわけでもない。市場に訪れる人の数を減らすために、商人も1日おきにしか店を開けないようになっている。

(編集部注:昨年5月、両江道(リャンガンド)の恵山(ヘサン)市当局は、コロナ感染拡大防止を理由に市場を閉鎖する措置を取ったが、これでは生きていけないと市民の猛抗議に直面し、閉鎖期間を短縮し、時間を制限して営業を認めている。)

(参考記事:コロナ対策の市場閉鎖に北朝鮮国民が猛反発「権力機関も恐れない」

しかし、今は商売する人々も状況に適応しつつある。市場に出なくても、電話で必要なものがあると電話で注文を受けて届けたりする。市場は1日に4時間しか開かないが、客はその時間に合わせて市場にやって来て買い物をする。それでも、(国境)封鎖前ほどは儲かっていない。

(参考記事:猛暑の北朝鮮で人気を集める「携帯電話で冷麺デリバリー」

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ー市場統制に関する最近の当局の措置は?

チョンさん:最近になってから、これといった指示は下されていない。ただし、(コロナ)ウイルスのせいで毎日取り締まりをやっている。市場に入る人は検温されるが、熱のある人は絶対に入れてもらえない。特に食べ物を扱う商人に対しては、徹底した検温を行う。市場管理所の帳簿に体温を記録して、許可を受けてようやく商売が許される。食べ物を売ろうと用意していったのに、熱があるからと帰されるケースもある。

ー国境封鎖後、貿易が止まり中国製の食材、服、加工食品が手に入れにくくなったと言われているが、最近入荷の減った商品は?

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チョンさん:外国製の正規品の医薬品は手に入れにくい。薬を求める人は多いが、モノがなくて売りたくても売れない。中国製の調味料、砂糖などは価格が高騰して、モノはあっても買い控える人が多い。しかし、薬は風邪薬、下痢止め、抗生剤など種類を問わず、モノそのものがなくて、消費者のニーズに応えられずにいる。国内製の薬も価格が高騰している。市場で一番買うのが難しいのは薬だと言われている。

ー逆に、最近よく売れる商品は?

チョンさん:人々は、食べることに関心が多いので、食品がよく売れる。最近は、コメが安いので1年分のコメを買っておこうとする人が多い。2月に入って6月までは、コメが高くなるので、少し余裕がある人々は、コメを買う。肉類、野菜、山菜もよく売れる。

ー北朝鮮当局は、人民生活安定のためにコメ価格を統制したり、市場に供給したりして、価格が下落した。

チョンさん:それで助かるのは事実だ。人々の生活レベルは以前ほどではないが、コメ価格だけでも下がったのは不幸中の幸いだ。市場でもコメで作った料理を売る人が増えた。お餅やスンデ(腸詰め)などだ。お餅は4000北朝鮮ウォン(約56円)、スンデは7000北朝鮮ウォン(約98円)、ポップコーンは5000北朝鮮ウォン(約70円)、トウモロコシ飴は4000北朝鮮ウォンほどで、値段も封鎖前と変わらない。市場があるおかげで、人々は品物を売って現金を得たり、品物が買えたりする。早く封鎖が解けて、以前のように商売ができるようになるのを望むばかりだ。

(参考記事:コメ商人を片っ端から逮捕…物価高騰の北朝鮮