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「公共の場所や機関、工場、企業所、協同農場などの職場でソーシャル・ディスタンシングを徹底せよ」

国内での新型コロナウイルスの感染者はひとりもいないとの姿勢を崩していない北朝鮮当局だが、今月10日にこんな緊急指示を全国に下した。しかし、あまりにも非現実的な指示に、各地で混乱が起きている。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)のデイリーNK内部情報筋によると、具体的な緊急指示は以下の3項目だ。

○機関、工場、企業所、協同農場では1人以上で働いてはならない
○空間を分離して、1人で働ける環境を作れ
○統制事業(取り締まり)も強化せよ

こんな指示を聞かされた人々は、首を傾げている。現場を知らない人が下したであろう、現実を無視した指示だからだ。例えば、工場では1つの建物に複数の機械があり、多くの人が作業をしているが、指示に完全に従うなら、機械1台、人1人を収容する何千何百の建物を建てるしかない。

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また、力を合わせて行う作業の多い協同農場でも、一体どうすればいいのかわからないとの反応が出ている。会寧(フェリョン)市内の農場では、個人ごとに働く空間を用意し、時間帯をずらして働かせることにしたが、農場の管理イルクン(幹部)は、携帯電話を持っていない農民に指示事項を伝えるために、農場じゅうを走り回るはめになっている。

厳しすぎるソーシャル・ディスタンシングは、別の問題を生み出している。

北朝鮮では来年1月開催予定の朝鮮労働党第8回大会で示す成果を無理やり作り出すため、各職場で「80日戦闘」が行われている。いずれの職場にも達成すべきノルマが課せられているが、効率的な働き方ができなくなり、ノルマを達成するどころか、仕事がたまる一方だという。未達成となった場合に厳しい批判、処罰を受けることになる幹部は頭を抱えているだろう。

(参考記事:クズ鉄供出をネタに小銭をかき集める北朝鮮流「錬金術」

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ソーシャル・ディスタンシングを守れという指示は、市場にも適用されている。

市場には、数多くの売台(ワゴン)が立ち並んでいるが、密にならないように1席ずつ空け、時間帯をずらして商人に使わせており、安全員(警察官)と糾察隊が取り締まりを行っている。

コロナ不況、ロックダウンなどで商売に多大なる支障をきたしている中での、非現実的なソーシャル・ディスタンシングの強制。たまりにたまった商人の不満がいつ爆発してもおかしくない。

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(参考記事:「どうやって食えというのか」北朝鮮で集団抗議活動、当局緊迫

新年を迎えると、毎年の恒例行事の「堆肥戦闘」が始まる。不足する化学肥料を補うために、人糞を集めるのだが、皆が力を合わせて行う力仕事も多いのに、こんな規則を守っていては、作業が全然進まないだろう。

北朝鮮ではしばしば、あまりに現実からかけ離れた指示が出されることがあるが、時が経つにつれウヤムヤになってしまう。「コロナ・パラノイア」に取り憑かれた金正恩党委員長によって出されたであろう今回の指示も、同じ運命をたどるだろう。

(参考記事:コロナ禍でも行われる北朝鮮恒例の「新年人糞集め」

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