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北朝鮮の朝鮮労働党機関紙・労働新聞は昨年8月6日、「暴かれた《万民福祉》、《万民平等》の虚構」という記事を掲載した。貧富の差が存在する資本主義を批判したこの記事は、次のような一文で締めくくられている。

勤労大衆の権利が無残に踏みにじられ、社会のすべてが金持ちのためのものになっている社会主義社会で、社会的富が特権層の奴らに集中し、社会の両極化、矛盾、対立が深化するのは必然的だ。

米国を批判する記事のはずが、まるで自国の現状を皮肉る「ブーメラン」と化してしまっている。当局は存在を否定するが、北朝鮮には身分制度が存在し、それが国民一人ひとりの人生を左右しているのだ。

(参考記事:【徹底解説】北朝鮮の身分制度「出身成分」「社会成分」「階層」

その頂点に立つのは、金氏一家とその親戚だ。デイリーNKは、複数の情報筋や脱北者からの情報に基づき、金日成主席の夫人で、金正日総書記の生母である金正淑(キム・ジョンスク)氏の親戚が住む地域の実態を探った。

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東海岸の大都市、咸鏡北道(ハムギョンブクト)清津(チョンジン)の東の郊外、新岩(シナム)区域の新岩洞1班。衛星写真で見ると、谷筋に沿った道や山肌を這うように開かれた道沿いに、家が立ち並んでいる。その一番奥に、赤レンガ色の屋根の大きな建物が20棟ほどあるのが確認できる。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、これらの家には、金正淑(キム・ジョンスク)氏の親戚7世帯が暮らしている。また、最近韓国にやってきた脱北者の証言によると、ここに住んでいるのは金正淑氏のいとこや6親等以内の親戚で、元々住んでいた人を強制移住させた上で、住宅を建設したとのことだ。

立ち並ぶ2階建ての家々は、部屋が8つもある豪邸。月100ドル(約1万400円)の料金がかかるが電気は24時間使用でき、ガスも供給され、彼らだけが利用可能な専用の商店まである。

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韓国の政府系研究機関、統一研究院の論文によると、このような住宅は内閣の副相(副大臣)クラスに与えられるものだ。庭付きの平屋または2階建てで、1日700グラムの食料品、3種類の雑穀、肉類、野菜、タバコ、ビールの配給を受ける。

また、進学や職場の配属においても特別扱いされている。最高学府の金日成総合大学や金策(キムチェク)工業大学に、成績とは関係なく入学可能で、平壌に自由に居住できる特権を持っている。卒業後は、道党(朝鮮労働党咸鏡北道委員会)で働き、要職ではなくとも、ワイロが手に入るオイシいポストに就いている。

一般庶民には想像もできないような暮らしをしているのだが、このエリアは、秘密のベールに包まれ、地元の人でも誰が住んでいるかよく知らない。

(参考記事:「派手な中心部にあばら屋の郊外」…北朝鮮・平壌の貧富の差

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「ここは咸鏡北道安全部(県警本部に相当)が警備していて、地域の入り口には武装した歩哨が立っている。外部の人は一切中に入れず、(中に住む人と)会うには、エリアの外で会わなければならない」(情報筋)

2010年に脱北した清津出身の別の脱北者は、党幹部が住んでいるという話なら聞いたことがあるが、金正淑氏の親戚が住んでいるとは初耳だと証言した。

このエリアには、金正淑氏の親戚宅以外にも、豪邸が立ち並んでいる。新岩洞2班は「闘士村」と呼ばれ、金日成氏らと抗日パルチザン活動を行った抗日革命闘士の子孫、いわゆる「赤い貴族」や、道党の最高幹部が暮らしている。

(参考記事:「赤い貴族」への大盤振る舞いが招く北朝鮮世論の悪化

町内の道は他とは違ってアスファルトで舗装され、道沿いには花が植えられるなど、北朝鮮のプロパガンダ映像に登場するような住宅地だが、1班ほど警備は厳しくなく、歩哨が立つのは夜だけで、外部の人の出入りも可能だという。

統一研究院の別の論文によると、この地域は財力と権力を兼ね備えた人々に人気のあるエリアだ。普通のトンジュ(金主、新興富裕層)は、商売に便利な市場周辺や市内中心部を好むが、トップクラスのトンジュや党幹部は、市場から離れた、落ち着いた雰囲気の郊外を好む傾向にある。

(参考記事:北朝鮮のニューリッチ、最近のトレンドは「郊外の豪邸に住む」

金正淑氏の故郷は清津ではなく、道内の会寧(フェリョン)なのだが、なぜ親戚は会寧や平壌ではなく、清津に暮らしているのだろうか。ちなみに会寧は「聖地化」が進められ、都市インフラも整備されている。韓国のNGO・脱北者同志会の徐宰平(ソ・ジェピョン)事務局長はこのような見方を示した。

「一般住民と同じ扱いをするのは微妙だし、管理を容易にするためにも人気の少ないところに集住させている可能性がある」

首都・平壌で働くとなると、様々な国家機密を知る機会があるだろう。また、彼ら自身は、金氏一家の隠された恥部を知っている可能性のある、存在自体が一種の国家機密なのだ。そんな人たちを中国との国境に面した会寧に住まわせ、万が一脱北でもされたら、絶対に知られたくない情報が海外に持ち出されてしまう可能性がある。

事が起きてから「始末」するよりも、このように「管理」する方がずっと楽だろう。

(参考記事:独裁者の「恥部」を暴露して処刑された最初の脱北者

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