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現在、米国に在住する脱北者の数は220人とされる。入国から1年が過ぎると永住権が得られ、5年過ぎると市民権を得る資格が生じる。今月3日に投票が行われた米国大統領選挙では、接戦の末に民主党のバイデン候補が勝利を収めたが、米国在住の脱北者の投票行動はいかなるものだったのだろうか。

米政府系のボイス・オブ・アメリカ(VOA)は、24人の在米脱北者に取材した。一般的に、移民は民主党を支持する傾向が強いが、脱北者の場合は異なり、4人のうち3人がトランプ候補に投票したか、あるいは権利があったならば同氏に投票しただろうと答えた。

ケンタッキー州在住の50代男性は、米国経済を発展させ、決断力と推進力のあるところこを評価してトランプ氏に投票したと答えた。バージニア州在住の30代女性は、米朝首脳会談については「米国の利益ばかり優先させた」として不満を述べたが、妊娠中絶に反対する共和党の政策がキリスト教的価値観に近いため、宗教的信念に基づいてトランプ氏に投票したと答えた。

また、シカゴ在住のキリスト教牧師、ジョン・キム氏はトランプ氏に投票した理由を次のように答えた。

「子どもたち、子孫のことを考えても、オバマ政権時に同性愛者(を守る)差別禁止法が成立して、子どもたちの未来が心配になった。そんな問題をトランプ大統領が解決しようとしています」

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(参考記事:【キリスト教保守と韓国社会-1-】同性愛に対する激しい憎悪

ここまで見ると、脱北者には保守派、共和党支持者が多いように思えるが、サンプル数が少ないため、断言はできない。また、暮らしている国が異なるため単純比較はできないが、韓国社会では脱北者は「極右」とのレッテルを貼られることが多い。保守派色の強いキリスト教(プロテスタント)信者が多いといった理由が挙げられているが、2016年に行われた調査では、脱北者は住んでいる地域の政治傾向に影響を受けるため、極右が多数ではないことが明らかになっている。

(参考記事:韓国定住脱北者の投票行動に変化…地域の政治傾向を優先

一方で、グレッグ・スカラチュー米国北朝鮮人権委員会(HRNK)事務総長は、キューバや北朝鮮などで共産主義体制を経験した難民は、共和党を支持する理由があるとし、また安い税金、小さい政府を望む傾向があるとも分析した。

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脱北者の中でバイデン候補に投票した人は、コロナ対応、難民政策、対北朝鮮政策を理由に挙げた。

大学に在学中の20代女性は、トランプ政権の難民や移民に厳しい政策により、米国に入国する脱北者の数が減ったことや、コロナ対策で科学的な根拠に基づいた対応ができなかったことなどを批判し、バイデン氏に投票したと明らかにした。

また、アラバマ州在住の30代女性は、庶民には民主党がよりよく、トランプ大統領は人種差別主義者だと述べた。

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どちらの候補を支持していても、脱北者にとって選挙は大切なものだ。前述のジョン・キム氏は、米国に来て10年経ったが、投票するたびに感慨深く感じるとして次のように述べた。

「北朝鮮に選挙があっても自由な投票はできない。人の目を気にしながら投票する。しかし、米国は違う。自分がやりたいように自由にできる国だから。自由に投票できることは非常に重要だ。だから感慨深い」

(参考記事:「民主社会を知りたくなった」脱北者の選挙当選に北朝鮮幹部が驚愕