韓国に定住する北朝鮮出身の脱北者の政治傾向は「保守的」「権力順応的」「与党セヌリ党支持」と言われてきたが、最近になって変わりつつあると韓国メディアが伝えた。

脱北者が保守的になるのは、北朝鮮という独裁体制下で、体制に従うことによって、生き残ってきたためと見られている。また、脱北者のコミュニティが保守的なキリスト教プロテスタント教会を中心に形成されているという理由も挙げられる。

一方、北韓大学院大学で博士学位を得た慶北移住民センターのキム・ヨンダル理事長が執筆した「北朝鮮離脱住民(脱北者)の投票形態研究」によると、実際の投票行動においては、居住地域の政治傾向に影響されているという。

2012年の大統領選挙を例に挙げると、与党が強い大邱市や慶尚北道在住の脱北者は、与党の朴槿恵候補に95.8%が投票した。一方、野党が強いや光州市や全羅南道在住の脱北者は、野党民主統合党(現共に民主党)の文在寅候補に51.5%が投票した。ちなみに脱北者を含めた全体の投票率は前者が80.14%、後者が90.62%だった。

また、同じ年に行われた国会議員選挙でも、大邱市や慶尚北道在住の脱北者は、セヌリ党に91.1%、民主統合党は6.7%を投票したが、光州市や全羅南道在住の脱北者は、民主統合党が60.7%、セヌリ党に32.8%が投票した。

つまり、保守か、リベラルかという政治傾向より、地域社会がどちらを支持しているかという地域の傾向が、脱北者の投票行動に影響を与えたことになる。保守が強い地域では保守に、リベラルが強い地域ではリベラルに投票するという「体制順応」が現れたと読み取れる。

キム理事長は「韓国社会の地域主義的政治意識と、韓国社会の政治体制と文化を習得する『政治再社会化』の過程で、地域の政治状況などの影響を受けて、政治傾向が変化することがわかった」と述べた。

一方、同じ脱北者でも、学歴が高く年齢が低いほど、野党の文在寅候補に投票する傾向が強まることも明らかになっており、脱北者の定着が進むにつれ「リベラル化」の傾向も出てきている。

    関連記事