2014年のソウル・クィア・パレードは保守キリスト教団体の妨害により大混乱に陥った。(画像:読者提供)
2014年のソウル・クィア・パレードは保守キリスト教団体の妨害により大混乱に陥った。(画像:読者提供)

日本の同性婚問題にも介入

3月31日、東京の渋谷区議会で性的マイノリティのカップルに自治体が「お墨付き」を与える「同性パートナーシップ制度」条例案が可決された。正式な同性婚ではないものの、日本でこのような制度が導入されたのは初めてのことだ。

この動きを巡り、保守系グループなどが性的マイノリティに対するヘイトスピーチを含む妨害活動を行ったことは、すでにレポートした。

そうした動きの中でも際立っているのが、韓国発祥の宗教団体・世界基督教統一心霊協会(統一教会)信者らによる組織的な反対ぶりである。

統一教会ばかりでなく、韓国では保守的なキリスト教団体が、性的マイノリティの団体とそれをサポートするリベラル派に対して様々な形で攻撃を続けてきた。

たとえば、6月に予定されている「コリア・クィア・カルチャー・フェスティバル」(KQCF)の広場使用問題がある。

ソウル市にも圧力

韓国の性的マイノリティが一堂に会するKQCFの組織委員会は、6月9?13日の開催を予定し、ソウル市に対して市庁前広場の使用許可を申請してきた。

しかし、ソウル市は明確な理由を示さないまま、この申請を拒否。組織委員会は交渉の末、開幕式での使用許可は得たものの、メインイベントである「ソウル・クィア・パレード」(6月13日)の開催場所の確保はなおも難航している。

KQCFのカン・ミョンジン組織委員長は、次のように語る。

「ソウル市が言を左右にして広場の使用許可を出そうとしなかったのは、性的マイノリティを罵倒する保守キリスト教団体の過激な抗議活動を負担に感じていたからなんです。開幕式の使用許可を得るために、ソウル市を数年がかりで説得しなければなりませんでした」

一方、保守キリスト教団体は今回のソウル市の決定に対し、さっそく抗議に乗り出している。

韓国の新聞「クリスチャン・トゥデイ」によると、キリスト教系の「正しい性文化のための国民連合」がソウル市の決定を糾弾する声明文を発表。「この祭りは韓国国民の感情に反するセンセーショナルで淫乱で退廃的なものだ。昨年のパレードでは半裸の同性愛者が性行為を描写するような踊りを見せたことに、多くの批判が殺到した。法曹界からも当該行為が公然淫乱罪にあたるとの声が上がっている」などと主張している。

「6と9とは淫乱な!!」と教会が大興奮

さらに、光州広域市キリスト教教団協議会、釜山キリスト教長老総連合会などキリスト教系の数十に及ぶ団体は4月3日付の朝鮮日報に、「市庁前6・9同性愛/クィア性文化祭に絶対反対」とする全面広告を出した。この中で同団体は「6月9日という開催日は淫乱な性行為を象徴するものであり、ソウル市の堕落ぶりを同性愛者たちが祝うためのものだ」と主張した。

こうした動きを受けて、KCQF組織委員会などはもちろん反論を行っている。

それでも、韓国の保守キリスト教団体の言い分が世間からバッサリ切り捨てられているかといえば、そうはなっていないのが現状だ。

日本で「同性婚を制度化したときに少子化に拍車がかかる」と発言した自民党政治家が世論の集中砲火を受けたが、それとはまったく状況が異なるのだ。

韓国のプロテスタント信者は人口の24%を占めるに過ぎないが、メディアや企業を所有し、クリスチャンの政治家も数多くいることもあり、韓国社会に与える影響力は非常に強い。

現代の韓国社会を理解するにあたってキリスト教、特にプロテスタントに関する知識は欠かせない。次回はこの点について詳しく解説する。(続く >>【キリスト教保守と韓国社会-2-】統一教会だけじゃない!! こんなにある「お騒がせ教団」)

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