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韓国気象庁の統計によると、1971年から2018年までの48年間で「朝鮮半島に影響を与えた台風」は年平均で3.2個。ちなみに、日本の気象庁の統計によると、1981年から2010年までの30年間に「日本に接近した台風」は年平均で11.4個だ。

年平均を超える4号(ハグピット)、8号(バービー)、9号(メイサーク)、10号(ハイシェン)の4つの台風が上陸または影響した今年は、北朝鮮に取って不幸な「当たり年」だ。

台風9号は今月3日未明に釜山に上陸、東海岸に沿って北上し、咸鏡南道(ハムギョンナムド)の咸興(ハムン)から東130キロの海上で温帯低気圧となった。

現地のデイリーNK内部情報筋によると、咸鏡南道の新浦(シンポ)では大きな被害が発生した。

台風の北上に伴い、朝鮮労働党と行政機関は機関や企業所に警戒を通知した。新浦水産管理所は2日午後、「台風が来るので絶対に海に出るな、港に近づくな、船が壊れないように管理せよ」との指示を出したが、船主や、漁師たちは指示を無視して行動した。

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この船主とは、漁船を所有するトンジュ(金主、新興富裕層)のことだ。自費で購入した漁船だが、個人名義での登録は認められていないので、費用を支払って水産事業所のなどの名義で登録している。

(参考記事:北朝鮮の「イカラッシュ」が政府の無能ぶりで台無しに

自分のものなので、守ろうと必死だったのだろう。漁師たちは船を海に出して、船首を陸地の方向へ向け、台風が来たら撤収すればいいと漁を続けたが、結局、船も人も流されてしまった。知らせを聞いた水産基地は、他の船を救助に向かわせたが、それらも含めて台風に飲み込まれてしまった。

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新浦、陽化(ヤンファ)などの市内の水産基地が大きな被害を受け、船が多数破損、建物が浸水または崩壊した。ロープで陸地に固定させておいた船も、陸に上げておいた船もすべて流されてしまい、高潮で市内中心部も浸水し、人が流されてしまった。

新浦市安全部(警察署)は、海に人が近づかないように道路や埠頭を封鎖、機関、企業所を通じて安否確認を行った。その結果、3日の午前10時までに32人が死亡または行方不明になったことが判明した。犠牲者の数はさらに増えると情報筋は見ている。

現地では「水産基地のイルクン(幹部)の指揮が間違っていた」と非難する声が上がっている。

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党機関紙・労働新聞は5日、台風9号による江原道(カンウォンド)や元山(ウォンサン)で数十人が死亡し、対策を怠った現地の党幹部や行政の責任者が処分されたと報じたが、新浦での犠牲者が含まれているかは不明だ。

(参考記事:「海岸地帯の安全対策に不備」金正恩氏、台風9号の被災地視察

被害把握もままならない状況の7日夜、今度は台風10号が9号とほぼ同じコースをたどり、朝鮮半島の東海岸を北上した。被害の状況に関する続報が待たれるが、国際社会の制裁、新型コロナウイルス、そして自然災害の続発は、来月10日に控えた朝鮮労働党創立75周年に暗い影を落としている。