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北朝鮮においては多くの場合、職業は自分で選択するものではない。国が勝手に決めるものだ。本人の特性、希望が全く考慮されないわけではないが、基本的には住むところも仕事も親のものを受け継がされる。

タテマエ上、社会的要因による人口の増減が少ないはずの北朝鮮だが、実際は農村の人口減少が著しい。機械化が進んでおらず、多くの作業を人力に頼っているだけあり、農場の人口減少は農業生産の減少に直結する。そこで当局が対策を打ち出したのだが、当事者から激しい反発を買っていると、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じている。

平壌の情報筋によると、農業省は昨年11月から全国の協同農場の保有する土地の面積、農民の数などについての実態調査を行った。その結果、最高指導者が訪れた農場などごく一部を除くほとんどの農場で労働力が不足していることが明らかになった。

それを受けて金正恩党委員長は今年2月、各道の朝鮮労働党委員会、人民委員会(道庁)に対して次のような方針を示した。

「協同農場地域居住住民をすべて農場所属の農場員に転換し、農場の労働力を補充せよ」

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つまり、協同農場の近所に住んでいる人は、有無を言わさず全員農民にしてしまえというものだ。情報筋は「農民に転落させられた」という表現を使っているが、北朝鮮社会において農民がどのような扱いを受けているかが現れている。

当局は今まで、兵役を終えた人、高等中学校(高校)を卒業した人を農場に強制的に配属してきた。平壌や地方都市で何らかの過ちを犯した人、農場を勝手に離れて都会に住んでいた人を追放し、農場に戻す措置も行ってきた。

いずれも、農場の労働力の確保のためだが、送り込んだ人々が次々と逃げ出すなどして、計画はうまくいっていないようだ。

(参考記事:北朝鮮で深刻な人手不足、頼みの「除隊軍人」も次々失踪

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ところが今回は、農場の近くに住んでいるというだけで農民扱いするという、前代未聞の措置を取ったのだ。これは3月から施行されているが、対象となった人たちは憤慨している。

「一部の該当者は、当局の今回の措置に反発し、自分たちは仕方なく農場に行くとしても、子どもたちだけは絶対に農場送りにはできないと抵抗している」(情報筋)

その抵抗の手法とは、道や郡の朝鮮労働党委員会、人民委員会、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)、警察等の司法機関などありとあらゆるコネを総動員、ワイロを払って家族をそこの職員として登録させるというものだ。

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(参考記事:「身分ロンダリング」で子どもを都会に送り出す北朝鮮の親心

同様の措置が行われ、学校の教師と家族までが農民にさせられたと現地の状況を伝えた両江道(リャンガンド)の情報筋は、次のように背景を説明した。

「都市と農村の貧富の格差が拡大する中、多くの農民が都会に引っ越し、協同農場の労働力不足が深刻になっている。すでに、大した数でもない労働者を農民に変えたところで解決するレベルではない」

同時に情報筋は今回の措置について、「都市と農村の貧富の差や生活レベルの差を縮めよ」との従来の政府方針とは異なるとして、「一度所属が変わって農場に足を踏み入れれば、代々畑仕事をしなければならなくなるのに、そんな不公平な方針におとなしく従う者がどこにいるのか」と述べた。

市場での商売で現金収入が得られる都会と、現金収入の機会に乏しい農村との格差は著しい。多くの農民は、トンジュ(金主、新興富裕層)から金銭や穀物を借りて種や営農資材を確保し、収穫後に高い利子を付けて返すという暮らしを強いられているが、返済に息詰まる人も少なくない。

そんな生活に見切りをつけて、農場を去り出稼ぎに行く人が後を絶たない。そんな状況に加えて今回のコロナ苦境である。漁港、鉱山など、現金収入が得られる地を目指して農村を後にする人が現れている。当局は、このような人々を農村に送り返す措置を取っているが、時間が経てばまた都会に戻ってくる。

(参考記事:コロナ不況で食い詰めた人々が目指す北朝鮮の「黄金郷」

都市と農村の貧富の格差は表面的な問題に過ぎず、根底には移動の自由、職業選択の自由を認めないという基本的人権の侵害、非効率な集団農業など様々なものが絡み合っているのだ。

(参考記事:北朝鮮「親の仕事を継げ」指示に国民から猛反発

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