人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

北朝鮮とキャッシュレスーー不釣り合いなイメージを持つ人もいるかもしれないが、実は北朝鮮でもキャッシュレス化が進んでいる。

そのひとつが、2014年頃から運用が始まった「ナレカード」だ。ICチップを搭載し、外貨でチャージして平壌や地方大都市、観光地などの商店、レストラン、ホテルなどで使用可能だ。

トンジュ(金主、新興富裕層)や特権層がため込んだ外貨を使わせ、国庫に吸い上げることを目的としている。ただ、何をどこでいくらで買ったかが当局に筒抜けになってしまう。財産を持っていることが当局にバレると、様々な方法でたかられたり、奪われたりする事態になりかねない。

(参考記事:北朝鮮、個人事業者への取り締まり強化…目的は税収確保

一方で、最近は「チョナトン」と呼ばれるキャッシュレス決済が人気を集めている。平壌のデイリーNK内部情報筋は、新型コロナウイルス対策で移動や集まりが制限されている状況で、チョナトンがさらに普及した状況を伝えている。

チョナトンとは、「電話(チョナ)」と「お金(トン)」を組み合わせた言葉で、つまりは携帯電話を利用したプリペイドマネーだ。北朝鮮の携帯電話は、料金が先払い方式となっている。チョナトンカードに米ドル、中国人民元、ユーロでチャージした金額分だけ、通話やメール送信が可能だ。このチャージした料金の一部は、他人の携帯電話に送金することができる。方法はとても簡単だ。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

携帯電話のSMS(携帯メール)で、
*999*送金額*相手の電話番号*チョナトンの暗証番号#
と入力するだけで、相手に送金できてしまう。

ただし、送金は1日1回、最大チョナトン500ウォンに制限されている。チョナトン1ウォンは、75北朝鮮ウォンと計算されるので、500ウォンは3万7500北朝鮮ウォン(約450円)になる。

送金するには銀行のサービスを利用するのがどこの国でも一般的だが、北朝鮮の銀行は信頼度が極めて低く、利用する人はあまりいない。送金は人づてに行うのが一般的だった。そういう事情もあって「方法が簡単で、少額を送金する場合にはチョナトンが便利だという声があちこちから聞こえる」(情報筋)と人気を集めている。

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

(関連記事:「銀行に預金するのはバカ」との不名誉克服を目指す北朝鮮の金融システム

最近では特に、チョナトンで友人、知人の誕生日のお祝いの祝儀を送るのが流行しているそうだ。相場はチョナトン200ウォンから500ウォンで、つまりは1万5000北朝鮮ウォン(約180円)から3万北朝鮮ウォン(約360円)だ。

「新型コロナウイルスのせいで、地方出身で平壌の大学に通う学生たちは、実家に帰ることも地元の友人に会うこともできない。ずっと寄宿舎にいながらも、家族の様々な行事、友人の誕生日などに、チョナトンを使えば祝儀を送ることができる。プレゼントの代わりにチョナトンで祝儀を送るのが流行し、地方にも広がっている」(情報筋)

人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面

このチョナトンは、様々なサービス使用料の決済に使われている。デイリーNKでは昨年8月、結婚情報サービスにおける使用事例も紹介している。

(参考記事:「革命的な恋愛」はもう古い…北朝鮮で流行る「出会い系ビジネス」