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北朝鮮国営の朝鮮中央通信によれば、昨年末に開かれた朝鮮労働党中央委員会第7期第5回総会の2日目の会議で、金正恩党委員長は経済について次のように指摘した。

「国の経済活動システムと秩序を合理的に整頓し、強い規律を立てることと、人民経済の主要工業部門の慎重な実態を早急に正すための課題を提起し、国の自立経済をいっそう強化するための実際的な対策を講じることについて強調した」

(参考記事:「自律経済、いっそう強化」北朝鮮で党総会の2日目

この「国の経済活動システムと秩序を合理的に整頓」することを目的としたと思われる取り締まりが北朝鮮で行われていると、平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋が伝えている。その最初のターゲットになっているのは「ソビ車」、すなわち個人運送業者だ。

情報筋は、当局が、国に登録していないか、登録した業種とは異なる業種で事業を行う個人に対する調査を行っており、このような事業で得た利益を不当なものとみなし罰金を徴収していると伝えた。

それによると、人民委員会(市役所)は個人運送業者が平均して1年で240ドル(約2万6200円)の利益を得ている見て、1人あたり70ドル(約7600円)の罰金を課したという。

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調査を行った人民委員会の幹部たちは「国に何も納付せず、機関や団体でも働かず、個人での金儲けに明け暮れるのは明白な違法行為」だとして、罰金を取ったとのことだ。

こうした取り締まりを巡っては、「国の経済活動システムと秩序を合理的に整頓」するためというよりは、不足する財源を補うためのものではないかとの指摘がなされている。

国家機関で幹部を務めた経験のある脱北者は「経済事業体制と秩序を整頓せよという指示の核心は、税金をまともに払っているかを確認せよという意味が大きい。国の財源を確保し、個人の商店、企業所などすべての経済活動を管理するのが真の目的と思われる」と指摘した。

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つまり、税金をきっちり取るための取り締まりであり、個人の商業活動を萎縮させるためのものではないということだ。

公式の徴税制度が存在しない北朝鮮だが、様々な形で事実上の税金が徴収されている。例えば、個人業者は地方政府に登録し、その名義で営業する、つまり「なんちゃって国営企業」となり、利益の一部を上納金として納めることで、営業を認めるという形が取られている。

(参考記事:タクシーの「上納金」を公共予算に当てる北朝鮮の地方政府

また、市場で商売する商人も市場管理費を納めているが、市場周辺の路上などで商売する人々はその費用を納めていないことから取り締まりの対象となっている。

(参考記事:北朝鮮、市場の統制強化か…新設の規制組織「8.4常務」拡大

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今回、総会後に取り締まりが行われたことを受けて、個人で運送業や家内手工業を営む人々、食堂を営む人などから不安の声が上がっていると情報筋は伝えた。

「新年早々から個人の金儲けを統制すれば、食べていくのがもっとしんどくなりそうで心配だ」(情報筋)

一方で、きちんと登録して「税金」を払っていても、不明確な理由で全財産を取り上げられる事件も起こっている。

(参考記事:北朝鮮版「細うで繁盛記」の悲惨過ぎる結末