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国際社会の制裁、新型コロナウイルス対策の国境封鎖、貿易停止で青息吐息の北朝鮮経済。

市場からは活気が失われ、国民は耐乏生活を強いられている。しかし、電化製品を売る商人だけはほくほく顔のようだ。不況時には、高価な耐久消費財ほど売れないはずだが、平壌郊外の流通の拠点、平安南道(ピョンアンナムド)の平城(ピョンソン)市場では、どういうわけか逆の現象が起きている。

(参考記事:【写真報告】北朝鮮国内、新型コロナ封鎖下の限界生活…市場は活気失い

現地ののデイリーNK内部情報筋によると、平城市場の電化製品売り場では今年に入って2月ごろまでは商売上がったりの状態だったが、3月に入ってからは上向いた。ノートパソコンが売れているからだ。

新型コロナウイルスの感染防止策として当局は国内のすべての学校の冬休みを2度に渡って延長する措置を取り、子どもたちは長期間に渡って自宅で過ごすことになった。それで、ノートパソコンを買い与える親が増えたというのだ。

(参考記事:北朝鮮、3度目の休校延長を撤回「金正恩氏が心配したから」

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3度目の冬休み延長は取り消され、大学生は開講に向けて準備を進めていることも、ノートパソコン需要を押し上げている。また、金正恩党委員長がオンライン教育を推進する方針を示したことも影響しているだろう。

一方で、「隠された需要」も存在する。韓流だ。

北朝鮮では、韓流ドラマや映画のファイルがUSBメモリやSDカードに保存された状態で流通し、携帯電話やスマートフォン、中国製の携帯メディアプレイヤー「ノートテル」で見るのが一般的だが、富裕層の間では移動や隠蔽が楽なノートパソコンを使うことが最も効率的と受け止められている。結婚する新婦もノートパソコンを嫁入り道具として持参する。

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当局は「反社会主義・非社会主義との闘いの強化と綱紀粛正」を掲げ、韓流の取り締まりを強化しているが、「上に政策あれば下に対策あり」のお国柄だけあって、人々は手を変え品を変え監視の目を欺き、韓流を楽しみ続ける。

(参考記事:金正恩が根絶に血道を挙げる「さらに危険なウイルス」

ちなみに、平城市場でのノートパソコンの相場は、中国製の中古が200ドル(約2万1600円)から250ドル(約2万7000円)、韓国製の中古が600ドル(約6万4700円)からだ。USBメモリは2GBが2万4000北朝鮮ウォン(約288円)、16GBは10万8000北朝鮮ウォン(約1300円)だ。

そんなパソコンは、制裁破りの「瀬取り」で密輸されたりもする。

(参考記事:横行する北朝鮮の「瀬取り」、人気の品はノートパソコン