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国際社会の厳しい経済制裁をあざ笑うかのように、北朝鮮の業者は手を変え品を変え密輸を行っている。密輸と言うと、核兵器やミサイルの部品がやり取りされているようなおどろおどろしいものを想像しがちだが、実際には他の国ならごくごく普通に輸出入されているものだったりする。

この季節、中国から北朝鮮に大量に輸出されているのは、ノートパソコンだ。米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、新学期を迎えた北朝鮮向けに大量のノートパソコンが密輸されている。その行き先は軍事施設ではない。道内の高級中学校(高校)だ。

北朝鮮当局は今年、大学のみならず高級中学校でも「科学技術時代に合わせて教育電算化を実現せよ」との指示を下した。また、「生徒に対してパソコンを活用した情報技術教育を常時実施せよ」との指示も下した。

急に大量のパソコンが必要になった学校当局が、貿易会社を通じて中国製の中古ノートパソコンを取り寄せたというわけだ。

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現地の別の情報筋によると、国際社会の経済制裁により、北朝鮮はノートパソコンなどのデジタルデバイスを正式に輸入しようにも、中国の税関で止められてしまう。そこで、海上を経て大量に密輸されているのだ。

「北朝鮮では教育は無料ではないのか」という疑問を持つ読者もいるだろう。北朝鮮は未だに「すべての教育は無償」と主張しているが、実際は教科書、制服から様々な学校施設に至るまで、父兄がその費用を支払わされる。

パソコンも、学校が生徒に無料で配布するわけではない。調達費用を親に負担させ、そのカネで中国からノートパソコンを取り寄せているというわけだ。

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それだけではない。子どもたちは「課題」との名目で、様々な品物を供出を求められる。キノコや石炭、動物の皮、中には毛虫を集めてこいとの課題が出されることもある。

(参考記事:北朝鮮の中高生「残酷な夏休み」…少女搾取に上納金も

中国当局は手をこまねいているわけではなく、国境警備隊の警備艇などが取り締まりに当たっている。だが、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)系の貿易会社は、中国に密輸を手助けする協力者を置いているため、大きな問題にならない。今回、中国の東港から北朝鮮の龍川(リョンチョン)に大量のノートパソコンの密輸に駆り出されたのは、中国漁船だった。

「むしろ中国政府が対北朝鮮制裁を公式にやればやるほど、中朝の密輸はより緻密に企画され組織的に行われる」(情報筋)

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デイリーNKの対北朝鮮情報筋によると、先月14日に東港から40キロの沖合で、北朝鮮の大型船に衝突された中国の小型船が沈没する事故が起きた。この事故で乗組員6人が行方不明となっている。北朝鮮の大型船は救助活動を行わず逃げてしまった。

この海域では「瀬取り」が横行しているが、取引上のトラブルの腹いせでわざと事故を起こしたのではないかという見方も浮上している。