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凶作続きの北朝鮮農業に、さらなる難問が持ち上がっている。非効率な集団農業、うまく行っているとは言い難い圃田担当制と呼ばれるインセンティブ制度、肥料や営農資材の不足など八方塞がりの状況だが、それに加えて、今年は新型コロナウイルスという新たな障害が発生した。

北朝鮮当局は、ウイルスの国内侵入を防ぐために1月末から国境を封鎖し、貿易を一時停止したが、そのせいで農業に必要な物資が輸入できないのだ。

黄海北道(ファンヘブクト)のデイリーNK内部情報筋は、「道内のすべての農場で種まきが始まったが、営農資材の不足で困難に直面している」と伝えた。

北朝鮮の農場は毎年1月から3月にかけて、肥料、農薬、ビニール幕などの資材の確保に奔走する。その他の農業資材は中国からの輸入に依存しているが、国境封鎖に伴い一般的な輸入も、密輸もできなくなってしまった。

「今の時期、農資材の輸入は毎年の恒例行事だ。しかし今年は感染症(コロナ)のせいか、資材が充分に確保できていない」

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そればかりか、機械を動かすのに必要な電力についても、当局からは「自主的に調達せよ」との指示が下される有様だ。

肥料は、工場前に数ヶ月前から泊まり込んで受け取りの順番を待つのだが、最大の生産工場の一つである咸鏡南道(ハムギョンナムド)咸興(ハムン)の興南(フンナム)肥料工場は、国際社会の制裁により原材料が輸入できず、生産ができなくなってしまった。

(参考記事:北朝鮮最大の肥料工場で生産中断。危ぶまれる来年の食糧確保

その不足を補うのは、全国から集めた人糞を使って生産した有機質肥料だ。各地域の有機質複合肥料工場に対しては、当初の計画よりもはるかに多くの量の肥料を生産せよとの指示が下されている。しかし、実現不可能なノルマを押し付けられ、各工場の労働者は頭を抱えていると情報筋は伝えた。

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有機質複合肥料工場は全国の市や郡に概ね1ヶ所ずつあるが、小規模なものが多く、地域の需要を満たすことすらできない。

昨年までは1人あたり数トンの人糞を納めることを求められていたが、今年からはノルマが大幅に減らされ、北朝鮮国民の間からは喜びの声が上がっていた。有機質肥料の生産が増えたことで、以前ほど多くの人糞が必要なくなったからだが、これは新型コロナウイルスの影響が本格化する前のことだ。こんなことならもっと人糞を集めさせたらよかったと金正恩党委員長は地団駄を踏んでいるかもしれない。

(参考記事:北朝鮮で新年恒例の「人糞集め」ノルマ減り喜びの声

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そんな中で高まるのは、韓国からの援助に期待する声だ。

「こんなときに南側(韓国)で多く生産されている有機複合肥料やビニール膜などの営農資材、不足している食糧も支援してもらえればどれだけいいだろうか」(ある協同農場員)

国境封鎖で中国からの物資流入が途絶えたことで、韓国への期待感が高まっているようだ。

そんな中で韓国の統一省は2日、韓国のNGOに対して北朝鮮への物資持ち出しを承認したと明らかにしたが、主に消毒液で農民たちが求めている肥料や農薬は含まれていないようだ。