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北朝鮮に今年も悪臭漂う季節がやって来た。堆肥戦闘の始まりだ。

新暦の正月の連休が終わる4日から、工場、企業所、機関、人民班(町内会)、学校などで、決められた量の堆肥、つまり人糞を集め、乾燥させた上で納めるものだ。

トン単位の極端な量のノルマをこなすために、他人の便所に忍び込み、人糞を盗み出す不届き者が続出する。また、市場で人糞が売られたり、人糞を納めた証明書が売買されるなど、国全体が人糞中心に動くという奇妙な光景が繰り返されてきた。

(参考記事:ダーティマネーが飛び交う北朝鮮の熾烈な「肥料争奪戦」

ところが、両江道(リャンガンド)のデイリーNK内部情報筋は、道内各地で新年の恒例行事として行われてきた堆肥戦闘の様子が少し変わったとして、次のように述べた。

「新年を迎えて全地域が堆肥でひどく悩まされるほど大騒ぎだったが、今年は課題量(ノルマ)が減ってそんな様子はかなり収まった」

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注目すべきは、学校の生徒らのノルマが大幅に減らされたことだ。

昨年まで、初級中学校の生徒は1人あたり150キロから300キロの堆肥を納めることを強いられていたが、今年からはゼロになった。また、高級中学校(高校)の生徒は70キロから100キロで去年の半分以下に減らされた。

その理由として情報筋が挙げたのは、有機質肥料の生産が増えたことだ。原料を輸入に頼らざるを得ない化学肥料の代わりに、その影響を最小化するために自国の技術で開発したものだ。それが市場に流通するようになり、堆肥への依存度が下がったということだ。有機質肥料とは、人糞や家畜の糞などを原料に製造したものだが、効率がよくなった模様だ。

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北朝鮮メディアは、新しいタイプの肥料について頻繁に報じている。北朝鮮国営の朝鮮中央通信は昨年8月、理科大学化学生物学研究所の科学者らが、効能の高い多機能性複合微生物肥料「豊緑」を完成させたと伝えている。

同肥料は、活性の高い独立窒素固定菌、燐分解菌、カリ分解菌、植物成長ホルモン生成菌、有機質分解菌など、10の微生物菌株からなっている。

土壌の質を改善し、植物の調和した生長の保障に効果的である。

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穀類作物の場合、尿素肥料の所要量を半分に減らしながらもヘクタール当たりの収量を15~20%以上高められるという。

情報筋は、ノルマの減少で窃盗やご近所トラブルも減少し、「幼い学生が堆肥を盗む悪さをしなくても済むようになったことに、人々は安堵している」(情報筋)と、多くの人が胸を撫で下ろしていると伝えた。

また、技術の発展を評価する声も上がり、「科学技術時代にはよりよい技術が普及して、古臭い労働から抜け出したい」(地域の老人)などと、将来的には堆肥戦闘がなくなることを期待している声も聞こえるという。

しかし、新しい肥料の開発だけで解決できるほど、北朝鮮の窮状が生ぬるいものでないのも事実だ。

(参考記事:北朝鮮「骨と皮だけの女性兵士」が走った禁断の行為