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平壌の中心部から北東に15キロほど離れた、龍城(リョンソン)区域の中二洞(チュンイドン)にある金正恩国防総合大学。潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、大陸間弾道ミサイル(ICBM)、生物化学兵器などに関連する教育と人材育成、開発に携わってきた重要な軍事研究機関だ。

そんな施設で、学生や教職員など70人が相次いで病に倒れる事件が発生したと、デイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。

(参考記事:北朝鮮「金正恩国防大学」の周辺住民に強制移住命令

情報筋によると、今月22日に国防大学の学生20数人が腹痛を訴えて倒れた。翌日には教職員やその家族、地域住民など50人も腹痛、下痢などの症状を訴え、大学内の軍医所、龍城区域の病院、国防科学院病院の3ヶ所に搬送され、治療を受けている。

時期が時期だけあって、新型コロナウイルスによるものとの疑いが持ち上がった。

実際、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の部隊では今年1〜2月、新型コロナウイルスにより180人が死亡し、3700人を隔離したと伝えられている。在韓米軍のロバート・エイブラムス司令官は、朝鮮人民軍が約30日間にわたり休止状態にあったと、ロイター通信が報じている。

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(参考記事:「焼くには数が多すぎる」北朝鮮軍、新型コロナで180人死亡の衝撃

調査の結果、病名は腸炎で、水道水によって引き起こされたことが判明した。国防大学の保衛部(秘密警察)が、給水施設を管理している職員を取り調べた結果、学生がバタバタ倒れた22日に、この職員が貯水槽に消毒薬を入れていなかったことが判明した。

国防大学のある地域の地層は石灰岩で、水質が良くないと言われている。当局は、重要施設だけあって水道供給にかなり神経を使っていたが、こんな事件が起きたことで当惑しているとのことだ。

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今回はヒューマンエラーによる事件だったが、北朝鮮の水道施設はかなり貧弱で、平壌市内でも断水や水の汚染が起きている。

(参考記事:蛇口から泥水が…北朝鮮「水道インフラ」のトンデモ度

この件の報告を受けた金正恩党委員長は、徹底した疫学調査と給水施設の整備を指示した。この指示を受けて、大学と近隣の民家が共有していた給水タンクと水道管を分離する作業が行われている。

当局は23日、大学と近隣の人民班(町内会)に対して「当分の間断水となるので、於隠洞(オウンドン)の革命史跡地のそばの泉の水を沸かして飲め」との指示が下された。

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近隣住民、学生、教職員は手にバケツを持ち、2キロも離れた於隠洞まで水を汲みに行っているが、しんどいとの声が上がったため、24日の朝には3トンの給水車が来て水の供給を行ったという。

ちなみにこの革命史跡地のそばには保衛部の秘密アジトがあり、1990年代の深化組事件の当時、徐寛熙(ソ・グァンヒ)中央党農業書記とムン・ソンスル中央党本部党責任秘書が拷問された上で処刑されたと言われ、工場労働者はそばを通るのを嫌がるところだという。

(参考記事:血の粛清「深化組事件」の真実を語る

本来ならこの時期の国防大学は、4月15日の太陽節(金日成主席の生誕記念日)の関連行事の準備で大忙しのはずだが、今回の件を受けて非常事態宣言が出され、事態収集に当たっている。

情報筋は「責任イルクン(幹部)は、揚水設備の設置工事の現場に行って、工事が迅速に進むように助けていて、教職員は学生の健康状態を管理するのに忙しい」と伝えている。重要行事を前に、事態収拾のタイムリミットは4月10日だ。