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新型コロナウイルスの感染拡大により、各地でマスク不足が深刻化している。各国政府は解消に取り組んでいるがが、対策は遅々として進まない。

一方で、北朝鮮ではマスク不足は起きていないと伝えられている。デイリーNKの内部情報筋は、2月初めにはマスク不足が発生したが、それ以降は問題なく購入できる状態だと伝えた。

(参考記事:北朝鮮ではマスク価格が安定している

一体どこからマスクが供給されているのだろうか。デイリーNKの別の情報筋は「密輸によるもの」だと明かしている。

「貿易省(現在は対外経済省)の主導のもとで、現在も北朝鮮にマスクが取り寄せられている。その任務は、上部の指示を受けた中国駐在の貿易指導総局の会社が行っている」(情報筋)

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これらの貿易会社は、指示に基づき、10日ごとにマスク10万枚、防護服3000着、保護服1500着、試薬などを密輸している。それも午前0時から2時の間に、当局の許可を受けた機関が未承認の地域を通じて品物を受け取るという。

つまり、税関以外の場所で人目を避けるように物品が密輸されているということだ。

平安北道(ピョンアンブクト)のデイリーNK内部情報筋は先月1日、人民武力省(国防省)系の貿易会社が、新義州税関を通じて韓国製のマスクを大量に密輸したと報じているが、いくら夜でも税関を通じての密輸では人目に付いてしまう。新型コロナウイルス対策として貿易を停止させている北朝鮮政府が、自ら規則破りを行っていては都合が悪いとの判断があったのだろう。

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北朝鮮国営ラジオの朝鮮中央放送は先月22日、外務省と対外経済省を中心に予防、診断用品の供給を行っていると伝えたが、これが今回の密輸を指しているのかは不明だ。また、民間交流を管轄する対外文化連絡委員会もマスク6万枚を確保したと報じている。

(参考記事:北朝鮮軍がマスクを「産地偽装」して密輸している

ちなみに朝鮮労働党機関紙・労働新聞は、9日付の「検査検疫を些細な隙間もなく」という記事で、輸入された物資について「隔閉された場所で10日間、自然状態で放置する」「指導署の要求に応じて検査と消毒を厳格に行った後、国が定めた手続きと秩序に従って該当する単位(機関、職場)に引き渡す規律を徹底して遵守している」と伝えている。

ここまでして取り寄せたマスクだが、一般人民に供給するためのものではない。

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「取り寄せた物品は基本的に医療指揮部に支給される。それ以外は、上流層、指導部やその家族に支給される」(情報筋)

北朝鮮の市場でマスクが十分に供給されているのは、輸送担当者や実際にマスクを受け取った人の横流しによるものである可能性がある。日本で問題になっている「転売ヤー」だが、北朝鮮は通常時から「転売ヤー」による横流し、横領がはびこっている。

(参考記事:北朝鮮軍に「横流し取り締まり部署」新設も効果は未知数