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北朝鮮は昨年10月、教化所(刑務所)で受刑している人を減刑または釈放する大赦免(恩赦)を行った。

通常の恩赦は、太陽節(4月15日の金日成主席の生誕記念日)、光明星節(2月16日の金正日総書記の生誕記念日)などに合わせて、政治的な意味を持たせた上で行われるが、前回の恩赦はどのような意図で行われたのかわかっていない。

(参考記事:北朝鮮、重犯罪者の恩赦を実施も意図は不明

人身売買の罪で逮捕、有罪判決を受け受刑していた両江道(リャンガンド)金正淑(キムジョンスク)郡の40代の男性も、このときに釈放されたが、最近になって再び逮捕されたと、現地のデイリーNK内部情報筋が伝えた。

この男性は、釈放から間もない昨年12月、以前から付き合いのあった中国のブローカーと共謀し、金正淑郡在住の女性2人を、普天(ポチョン)郡まで連れていき、国境を流れる鴨緑江を渡らせた。

2人は無事に中国側の岸にたどり着いたが、身柄を引き受ける中国のブローカーと連絡がつかず、山に登って身を隠した。暖冬とは言え極寒の地。天気情報サイトの中国天気によると、近隣の吉林省長白朝鮮族自治県の昨年12月の最低気温は最も低かった6日が氷点下29度、最も高かった10日でも氷点下15度。

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2人は寒さをこらえ10時間は頑張ったものの、到底耐えきれないと山から降りて北朝鮮に戻ったところを国境警備隊に逮捕された。

おりしも国境地域では、国家保衛省(秘密警察)による国境警備隊に対する厳しい検閲(監査)が行われていたが、2人の取り調べも国家保衛省が行い、ブローカーの男性の名前が浮上、逮捕に至った。

(参考記事:暗がりに潜む金正恩の「処刑部隊」…中朝国境が緊張

情報筋によると、男性は取り調べで犯行動機を次のように語った。

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「恩赦で釈放され二度と罪を犯さないと決心したが、家族は、教化所にいる自分への仕送りでカネを使い果たした。極貧生活を強いられ、結局は商売の元手だけでも稼ごうと再び人身売買に手を出した」

北朝鮮の刑務所は、看守による暴行が横行するだけではなく、衛生状態も非常に悪く、食糧もまともに配給されない。そのため、受刑者の家族は、食糧や現金を差し入れすることを強いられる。さもなくば、生きて刑務所の門を出られない可能性が高まる。

(参考記事:「毎月の面会を認める」北朝鮮の刑務所で待遇が改善された理由

ただでさえ負担が大きいのに、一部の教化所では、自分たちの経営する割高なコンビニで差し入れの品を購入することを強いている。つまり、権力を振りかざして弱い立場の人からカネをむしり取る北朝鮮の現状が、この男性をして再び犯罪に手を染めさせたというわけだ。

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(参考記事:お客から恐喝して荒稼ぎする北朝鮮「恐怖のコンビニ」

家族は「生活苦ゆえの再犯」として善処を求めているが、国家保衛省の検閲で摘発されたことを考えると、重い判決が下されるだろうというのが地元の声だ。また、受け取った報酬が2万元(約31万4000円)であったことも、裁判に悪く影響するだろう。

「元帥様(金正恩党委員長)が新たに生きよと恩恵をくださったのに、再び罪を犯したので、重刑が下されるだろう。今回の事件で国境地域の雰囲気はさらに険しくなるだろう」(情報筋)