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国の電力問題を解決することを全国家的な事業としてとらえ、漁郎川(オランチョン)発電所と端川(タンチョン)発電所をはじめとする水力発電所の建設を推し進め、潮水力と風力、原子力による発電能力を将来を見通して造成し、各道・市・郡では地元の様々なエネルギー資源を効果的に開発、利用しなければなりません。

金正恩氏が発表した「新年の辞」全文より)

老朽化する設備、制裁による燃料不足、気候に合わない水力発電への偏重などが生み出した北朝鮮の深刻な電力難。

また今年2月には、新義州(シニジュ)を含む平安北道(ピョンアンブクト)西北部一帯で、老朽化した送配電設備の故障で長期間の停電が起きた。すでに復旧したもようだが、1日3時間程度の電力供給にとどまり、供給時間も不安定なままだ。さらに、発電所から家庭に届くまで7割の電力が失われてしまうと言われており、その原因も設備の老朽化にある。

(参考記事:北朝鮮北西部で大規模停電、燃料供給にも影響の可能性

その解消に向けて、北朝鮮は自然エネルギーの開発に力を入れおり、多少ながら改善の兆しも見られる。

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北朝鮮の対外宣伝ウェブサイト「メアリ」は今年2月、平安北道送配電部が自然エネルギー発電所を建設したと報じたが、実際に稼働している様子が現地のデイリーNK内部情報筋から伝えられた。

発電所の完成で、新義州市の一部地域に電気が供給されるようになったというのだ。平安北道の人民委員会(道庁)と、朝鮮労働党平安北道委員会からなる協議会が行われ、その結果に基づいて地域に風力発電と太陽光発電を利用した発電所が建設された。稼働が始まったようで「新義州市の一部地域に電力供給が始まった」(情報筋)とのことだ。

前述の記事によると、発電所は鴨緑江の下流の300平米の敷地に3600枚のソーラーパネルを設置したもの。総出力は1000キロワット(1メガワット)で、「メガソーラー」に分類される。しかし、36万人の人口を抱える新義州市全域に電力を供給するには、現在の何十倍もの規模にしなければならない。

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ちなみに日本最大の岡山の瀬戸内Kirei太陽光発電所は235メガワットだ。現在モロッコで建設中のヌール・コンプレックス太陽光発電所は、2020年の完成後には580メガワットの出力となり、100万人以上に電力を供給する。

北朝鮮のものは現段階では世界的レベルのメガソーラーとは比べ物にならないが、情報筋は「発電能力を現在の4倍に拡張するための段階別計画が進捗中だ」とし、今回完成した発電所をモデルケースにしていると伝えた。つまり、自然エネルギーに今まで以上に力を入れるということだ。

今回の発電所は、金正恩党委員長が昨年11月にぶち上げたメガプロジェクト「新義州市建設総計画」の一環として建設されたもようだが、プロジェクトの方は制裁による資材不足などにより進んでいないようだ。

(参考記事:金正恩氏、中朝国境都市の再開発を指導「5カ年計画で」

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北朝鮮の人々は、国からの電気の供給に期待せず、ソーラーパネルを購入して自宅に設置してきた。一家に1枚が当たり前になりつつあるが、それだけで24時間、すべての需要を問題なく賄えるわけではない。そのため、昼間にソーラーパネルで発電した電気をバッテリーに貯めておき、夜に照明器具や暖房に使う。無駄をなくすために、照明はLEDなどエネルギー効率の高い製品を使うなど、生活の知恵も必要など、かなり面倒なものだ。

(参考記事:極寒の北朝鮮の命綱「電気毛布とソーラーパネル」