北朝鮮を長年苦しめ続けてきた電力難は、最近になって解消の兆しを見せている。しかし、供給が綱渡り状態であることに変わりはない。

今月8日から北朝鮮の北西部一帯で大規模な停電が発生しているが、変電設備の故障によるものだと、米政府系ラジオ・フリー・アジア(RFA)の情報筋が伝えた。

中国丹東の貿易業者によると、平安北道(ピョンアンブクト)の広い地域で8日午前に停電が発生した。10日の時点でも回復していないと業者は伝えたが、その後復旧したのかは不明だ。

停電は、丹東と川を挟んで向かい合う中朝貿易の中心地、新義州(シニジュ)のみならず、龍川(リョンチョン)、義州(ウィジュ)、ピヒョン、塩州(ヨムジュ)など広範囲に及んでいる。

北朝鮮にはこの20年間、電気が全く供給されていない地域もある中で、新義州など平安北道北西部は比較的電気の面では恵まれた地域だった。そのせいか「北朝鮮の電力事情が劣悪なのはよく知られているが、何日も電気が全く来ない状況はただごとではない」(情報筋)とのことだ。

停電により、新義州市全域が断水となっている。ビジネスに欠かせない携帯電話の充電ができないなど、市民生活への影響が広がっている。他の地域ならソーラーパネルで解決したところだろうが、なまじ電力事情がよかっただけあって、停電への備えがなされていないところが垣間見える。

停電の原因は、変電設備の故障だ。

新義州電気会社で勤務経験を持つ脱北者キムさんは、影響範囲の広さから義州にある大型変電所の変圧器に問題が生じたものと見ている。

水豊(スプン)水力発電所など複数の発電所から来る22万ボルトの電気は、雲山(ウンサン)にある1次変電所に集められる。そこで電圧を6万ボルトに下げて、義州の2次変電所に送い、そこから平安北道北西部に3300ボルトの電気を供給する仕組みになっている。

キムさんは、今回の停電で、中国からパイプラインを通じて送り込まれた原油を精製するピヒョンの白馬烽火化学工場、新義州の楽園機械連合企業所など、2経済(軍需経済)関連の施設の稼働中断は避けられないと見ている。

中国からはパイプラインを通じて借款の形で年間50万トンとも言われる原油を供給されているが、原油精製工場の稼働が止まると、その影響は北朝鮮全域に広がる可能性がある。

影響の大きさから当局は復旧に全力を尽くしているが、問題は老朽化した送配電設備にあるため、事故は再発するだろうとキムさんは見ている。

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