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北朝鮮では平野部で先月から、北部山間地でも今月から秋の収穫が始まった。

朝鮮労働党機関紙・労働新聞は先月14日に「すべての力を秋の収穫戦闘に総動員、総集中しよう」という収穫を促す社説を掲載した。また、朴奉珠(パク・ポンジュ)総理の農場の視察、毎年恒例の中国大使館職員の農場での親善労働の様子、各地の収穫状況なども伝え、収穫への動員を煽るのに必死になっている。

北朝鮮の最も北東に位置する咸鏡北道(ハムギョンブクト)の穏城(オンソン)郡の農村経営委員会も「皆が秋の収穫の戦場へ」というスローガンを叫びつつ、終盤に差し掛かった収穫に総力を集中させるための動員命令を頻繁に出している。

ところが、現地のデイリーNK内部情報筋は、収穫に当たっているはずの農民が、一人また一人と農場から姿を消していると伝えた。

「今年の農場の収穫が大幅に落ちると見込まれているので、一部の農民は早々に対策を立てている。国から割り当てられた収穫をやるにはやるが、家族の一部を生きる糧を得るために商売に行かせている家もある」(情報筋)

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今年の北朝鮮は度重なる自然災害で、凶作が確実視されている。

(参考記事:北朝鮮の食料供給に赤信号…猛暑と台風で収穫減の見込み

当局は農民に対して収穫時の穀物の横流しや市場での販売を厳しく禁じる布告を出し、穀物を少しでも多く確保するために必死になっている。市場に出回る量が少なくなることで、来年の春窮期(前年の穀物が底をつく)の食糧不足が懸念される状況だ。

(参考記事:北朝鮮「穀物の売買禁止令」で国内に不安が広がる

普段なら農場幹部の目が気になり、足りない食糧は落ち穂拾いで確保するものだが、今年はそれだけでは到底足りないため、逆に強気になって収穫をサボり、商売に行くというのだ。

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「日照りと大雨で農場も被害を受けたが、個人の畑もひどい。家族全員がそこからの収穫で食べていくのはムリだ。幹部が家まで訪ねてきて『収穫に出てこい』とうるさいので、数日留守にしてしまう」(情報筋)

報告を受けた農村経営委員会は、農場幹部を通じて家族に『収穫に出てこない農民が誰か把握して、農場に早く連れ戻せ」と矢継ぎ早に催促している。また、処罰をちらつかせて脅しをかけてもいる。実際に、幹部の指示を無視して商売に行った人が保安署(警察署)に連行されてしまった。

幹部は幹部で心労が絶えない。収穫の一部は農民に分配することになっているが、今年は収穫量が少なく、分配が充分に行き渡りそうにない。農民にとっては、懸命に収穫しても損するだけなのだ。そんな状況で幹部が強く出ると、農民から反発を買いかねない。

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だからと言って、黙ってみているわけにもいかない。農場幹部は農村経営委員会に呼び出されて「農民を連れ戻せ」批判されている。また、国が定めた計画収穫量(ノルマ)を満たさなければ処罰される。それを避けるために計画を達成できたかのように虚偽報告を行うが、そうすると来年のノルマが増やされてしまう悪循環に陥るのだ。

(参考記事:北朝鮮、計画経済と「虚偽報告」が引き起こす食糧難