度重なる自然災害で、北朝鮮の穀物収穫量が減少することが予想されている中、穀倉地帯の平安道(ピョンアンド)、黄海道(ファンヘド)では収穫が最盛期を迎えている。

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咸鏡北道(ハムギョンブクト)、両江道(リャンガンド)などの北部山間地でも今月に入って収穫が始まったが、他の地域同様に作況が悪く、農民の間からは「今年は昨年ほどの収穫物の分配は望めない」といった失望の声が上がっている。

咸鏡北道のデイリーNK内部情報筋によると、道内の茂山(ムサン)、会寧(フェリョン)など中国国境に面した地域でも今月4日から収穫が始まった。トウモロコシの場合、3分の1は実がなっていないか、スカスカで、残りもあまり状態がよくないという。

協同農場の畑のみならず、個人耕作地の作況も芳しくなく、農民は「数年ぶりの凶作」だと嘆いているという。当局は計画収穫量を無理やり達成するために、個人耕作地で収穫した穀物の一部を供出せよと指示し、「収穫量の不振を個人になすりつけようとしている」との不満の声が上がっている。

農民は、生計の維持のために収穫物を横流ししたりしてきたが、当局は9月初頭に「穀物の流出を防ぐための布告文」を出し、穀物の売買などを厳しく取り締まる方針を示している。

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両江道の大紅湍(テホンダン)ではトウモロコシ、アワ、キビも計画収穫量に達しなかったが、地域特産品のジャガイモの作況は悪くなく、大豆も花の咲く時期に雨が降ったおかげで収穫量は平年並みだという。

「今年はひどい日照りが長く続いたせいで、小麦やトウモロコシなどの穀物の作況は昨年より悪いが、ジャガイモなど地中で育つものはマシなほうだ」(現地の情報筋)

それでも、完全に安心できる状況とは言えないようだ。軍は農場にトラックを送り込み、収穫されたばかりの作物を次から次へと徴発していっているという。現地の事情を無視して、軍向けの食糧を確保しているということだ。過剰な供出は餓死者を発生させかねない。

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心配はそれだけではない。大紅湍や白岩(ペガム)などには今月1日、畑にうっすら積もるほどの雪が降った。そのせいで収穫に支障をきたすかもしれないとの不安が広がっているという。

一方、今年の凶作をチャンスと見ている人たちもいる。

地域住民の間では「他の地域からジャガイモの買い付けに押し寄せてくるだろう」との話が広がり、商才のある人は数トン単位でジャガイモを買い込んで、来年春に値段が上がったころで売ろうとしているとのことだ。

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