北朝鮮の秘密警察、国家保衛省の要員は以前から、ビジネスで北朝鮮を訪れる中国人の商人やドライバーにいちゃもんをつけて、罰金をむしり取る行為を行ってきた。それがここ最近になってまたひどくなってきているようだ。

(参考記事:北朝鮮、罰金は中国元で払え!…警察も外貨稼ぎに躍起

この話を伝えてきた北朝鮮の国内事情に精通した情報筋によると、最近流行りの手口はつぎのようなものだ。

まず、保衛員(秘密警察)は、羅先(ラソン)の元汀里(ウォンジョンリ)税関の周辺に潜み、「獲物」を待ち受ける。中国の商人やドライバーが車で通りかかれば、携帯電話を確認する。

北朝鮮に入って1キロ以内は中国の携帯電話の電波の圏内なのだが、着信履歴があれば通話をしたものとみなして、中国人民元で1000元(約1万6000円)の罰金を払わせるというものだ。

この取り締まりだが、おそらく刑法のこんな条項を悪用しているものと思われる。

第222条(非法的な国際通信罪) 非法的(違法)に国際通信を行った者は1年以下の労働鍛錬刑に処する。前項の罪状の重い場合は、5年以下の労働強化刑に処する。

意図して通話を行ったわけではなく、偶然つながったものであっても、違法扱いをするというわけだ。商売で中国と北朝鮮を行き来する商人やドライバーは、入国できなくなったり、嫌がらせされたりすることを恐れて泣く泣く罰金を払うという。

保衛員は、高性能の電波探知機を利用して、北朝鮮国民を対象に中国や韓国との通話を取り締まってきた。摘発してワイロをせしめ、金づるにするためだ。中には、ハナから国際通話に便宜を図る保衛員すらいる。

(参考記事:携帯電話の「定額サービス」を始めた北朝鮮の秘密警察

保衛員は、同じような「ワイロありき」の行為を中国人に対しても行うようになったのだ。ワイロで事を済ませるという拝金主義が横行しているため、要求する保衛員の側も何の良心の呵責も感じないというわけだ。

保衛員はこれ以外にも、北朝鮮国民を同情させている中国の車もターゲットにしている。

中国人ドライバーはガソリン代を稼ぐために、いくらかの運賃を受け取って北朝鮮人を相乗りさせることがある。このような行為を発見した保衛員は罰金を要求するが、相場は男性なら1人あたり500元(約8000円)、女性なら1000元だという。取り締まりが厳しくなったため、中国人ドライバーは相乗りを断るようになったとのことだ。罰金に男女差がある理由について情報筋は触れていないが、売春を行っている女性とみなされている可能性がある。

(参考記事:「外国人相手の売春は銃殺」正恩氏指示で北朝鮮のフーゾク大打撃

当然のことながら、北朝鮮を頻繁に訪れる中国人の間では「こんなことまでしてカネ稼ぎをしなければならないのか」「北朝鮮人をさらに警戒すべきだ」という声が高まっている。

保衛員が中国人から罰金を取り立てるようになった理由は不明だが、金正恩氏が進めている高級リゾート「元山葛麻(ウォンサンカルマ)海岸観光地区」の建設事業の資金調達のため、末端の保衛員に対する忠誠の資金(上納金)要求が強まった可能性が考えられる。

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