金正恩氏が「売買春行為」に対して厳しく取り締まることを指示した、と米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えている。
北朝鮮で売春は違法だ。刑法249条「売淫罪」では「売淫行為を行った者は1年以下の労働鍛錬刑に処す。前項の罪状が重い者には5年以下の労働教化刑に処す」とされている。また、刑法250条「淫乱な行為罪」でも処罰対象となりうる。
北朝鮮当局は、これまで売春行為を行う女子大生への取締を行ったり、売春を斡旋していた老人と学生を銃殺したりと様々な対策を取ってきたが、長引く経済難のためか一向に減る様子はない。
カジノと売春目的の中国人向けホテル
こうしたなか、金正恩氏が「外国人相手の売買春を厳しく取り締まり、行為を行った者は銃殺にせよ」との指示を出した。そして、これによって北朝鮮の風俗業界が打撃を受けているとRFAは伝える。
最も打撃を受けているのは、北朝鮮の東海岸、中朝国境に程近い羅先(ラソン)経済特区だ。特区内の海岸沿いにあるエンペラーホテルは売買春の巣窟となっている。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面このホテルは、1998年、香港資本によって建てられた。エンペラー(皇帝)という、北朝鮮らしいとも、らしかぬとも言えるホテルだが、国内で唯一のカジノが存在する。
一時期は、延辺朝鮮族自治州からカジノ目的でやってくる中国人で溢れていたが、中国の地方政府職員が公金を横領してカジノにつぎ込んでいた事件が発覚。中国政府は羅先観光を禁止したことから寂れていた。しかし、最近営業を再開して、多くの中国人客が訪れるようになっている。
現地事情に詳しい中国の貿易業者は次のように語る。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「羅先は、以前から売買春で悪名高かった。咸鏡北道芸術団や鉄道芸術宣伝隊のメンバーが、わざわざ100キロ離れた清津(チョンジン)から売春ツアーみたいなことをやっている」
車中や路上でも…露骨過ぎて物議
女性が受け取る金額の相場は、交渉次第だが若い女性なら人民元で50〜100元(約960?1900円)、さらに若くて可愛い女子大生なら300?500元(約5700〜9600円)ぐらいだという。
交渉はレストランや道端で行われ、話がまとまればホテルや車の中、或いは路上で性行為を行うが、「あまりに露骨に行為をするため、社会的に物議を醸していた」と貿易業者は語った。
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「売春行為は銃殺」という金正恩氏の指示が出てからは、羅先市保安署(警察署)と司法検察組織からなる「麻薬売春取締班」が、中国人が利用するホテルやマッサージ店などを集中的に取り締まり、売春斡旋組織を摘発した。
この影響で、売春婦は姿を消し、買春目的で羅先を訪れる中国人の数も減ったことから地元の風俗業界がダメージを受けたという。
一方、羅先地区は新鮮なシーフードが豊富であり、ショッピングや美しいビーチ目当てで訪れる中国人は増えつつある。中国内陸部の吉林省や黒竜江省の人々にとって、日本海側の羅先は最も近くて手頃な「ビーチリゾート」というわけだ。