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南北首脳会談と米朝首脳会談を受けて北朝鮮の国内では喜びムードが広がり、庶民の間では金正恩党委員長に対する評価が急速に高まっている。

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一方で北朝鮮当局は朝鮮人民軍(北朝鮮軍)に対し、融和ムードにうかれることなく以前通りの勤務を続けよとの指示を下した。しかし、現場では聞き流されているもようだ。

平安北道(ピョンアンブクト)の情報筋によると、最高司令部(朝鮮労働党中央委員会)は軍の各部隊に対し、「党の政治事業を強化し、すべての幹部と兵士がみだりに平和の幻想を持たないように思想教育を強く推し進めよ」と指示を下した。

南北首脳会談と米朝首脳会談を見た兵士たちが、平和がひとりでにやってくると思い込み、戦闘準備をおろそかにしたり、規律が緩んだりすることが起きないようにするためのものだと情報筋は説明した。

最高司令部はさらに「人民軍は、時々刻々と伝わる外部情勢の変化に耳を傾けることのないように」とも指示した。北朝鮮の国営メディアは、海外情勢をリアルタイムで報じることがないことを考えると、この指示は暗に韓国や米国のラジオを聞くなとの意味とも考えられる。韓国軍は心理戦の一環として北朝鮮に対して行っていた拡声器放送を、南北首脳会談の板門店宣言に基づき中止しているが、ラジオさえあればいくらでも聞くことができる。

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そして指示文は、軍はいかなる場合にも戦闘準備に万全を期し、関連問題の解決にすべての力を集中せよと強調したとのことだ。

平安南道(ピョンアンナムド)の情報筋は、同様の指示が党中央(金正恩氏)から下されたと伝えた上で、指示文の中身を説明した。

「元帥様(金正恩氏)の卓越した領導で北南(南北)、北米(米朝)首脳会談が実現し、共和国(北朝鮮)の対外的権威は日々高まりつつある。朝鮮半島の平和を保証するのための元帥様の意図を確固として実現するにおいて、人民軍の役割が重要だ。有事の際の対応戦力を最大限に引き上げなければならない」

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最近の急変する情勢に対して人民軍総政治局、人民武力省、総参謀部が各部隊に対して綱紀粛正を促す司令を頻繁に送っていて、これを受けて各部隊は、指示を実行するための教養(思想教育)事業計画を立てて傘下の部隊の実践状況を随時チェックしていると情報筋は述べた。

しかし各部隊では、計画は立てるものの実行していないか、実行するふりをしているだけの場合が多いと情報筋は証言した。下級部隊の指揮官の間では、中身のない指示を乱発するだけの上層部に対する不満がたまっているとのことだ。

綱紀粛正を叫ぶ前に解決すべきは、餓死の瀬戸際に立たされている末端兵士たちの食糧問題だろう。

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