13日に板門店の協同警備区域(JSA)を突破して亡命する過程で銃撃を受け、治療を受けていた朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が20日午前までに意識を取り戻した。一部の韓国メディアによれば、兵士は「ここは南側(韓国側)ですか」「韓国の歌が聴きたいです」などと話したという。
兵士はその後も回復を見せ、自身の名をオ・チョンソン、25歳の下士官であると明かし、「テレビを見たい」と語ったと京郷新聞が22日付で伝えた。
北朝鮮では、韓国の歌――K‐POPなどの歌謡曲や韓流ドラマが人々の絶大な人気を得ている。しかし、それらを視聴したり頒布したりすることは厳禁されており、当局にバレたら重罪に問われる。捕まれば、取り調べで拷問を受けた上に投獄されるのは免れない。それを恐れ、摘発されるや自らの命を絶ってしまう若者も少なくないという。
(参考記事:北朝鮮の女子大生が拷問に耐えきれず選んだ道とは…)亡命した兵士は、軍事境界線近くで車を降り、銃弾の雨の中を徒歩で南側へ逃げ込むという冒険に出ており、よほど切羽詰まった状況で脱北に踏み切ったと見られる。部隊内でK-POPを聞いたり、音楽ファイルを仲間に提供したりしたことが発覚し、逮捕寸前に逃げ出した――もしかしたら、亡命の背景にはこんなことがあったのかもしれない。