韓国では大都市を中心に、「半地下」の賃貸物件が多数存在する。元々は防空壕に使う目的で作られたものだったが、急増する都市人口を収容するために住居として使われるようになった。日当たりが悪い、ジメジメしているなどといった住環境の悪さから、貧困の象徴となっている。

一方、北朝鮮の首都・平壌でも半地下の部屋が急増している。その事情を、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が報じた。

平壌の情報筋によると、最近急増している半地下物件は、元々はマンションの地下倉庫だったものを、トンジュ(金主、新興富裕層)が投資して住居に改造したものだ。

北朝鮮では、住宅は国から無償で割り当てられることになっているはずなのに、家主であるトンジュに家賃を払って半地下の部屋に住むとはどういうことなのだろうか。

平壌では、国から住宅を割り当ててもらえなかった場合、親戚や友人の家にいくらかの家賃を払って居候するというのが一般的だ。政府は住宅を建てる予算がないため、トンジュから投資を募って建設を進めているが、そのようにして建てられた住宅は販売用だ。だからそもそも、庶民に割り当てられることはないのだ。

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ただでさえ住宅が不足してところに、人口が急増する事態が起きた。平壌出身で軍に務めていた人々が多数、兵役を終えて帰ってきたのだ。親は元々住んでいた家を、結婚する息子に譲り、自分たちは半地下の部屋に引っ越すのだという。

取引は、専門のブローカーを通じて行われる。家賃は面積、電気、日当たりにより千差万別だが、窓から陽の光がある程度入る部屋なら月50〜100ドル(約5450円〜1万900円)、完全に地下の部屋なら月2〜30ドル(約2180円〜3270円)が相場だ。

平壌は本来、思想的に問題のない「選ばれし者」だけが居住を許された特別な都市だが、ワイロを払って住む人が増えていることも、住宅不足と関係している可能性がある。

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苦労して得た「平壌在住資格」も、他の国なら到底考えられないような理由で剥奪されることもある。

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平壌郊外の平城(ピョンソン)の情報筋によると、市内では高層マンションが次から次へと建てられているが、庶民に割り当てられるのは少数で、ほとんどが幹部や科学者に割り当てられ、残りはトンジュが転売している。

労働党中央委員会は、平城市人民委員会(市役所)の住宅配定処に、兵役を終えて帰ってきた人に住宅を優先的に割り当てるように指示したが、人民委員会としても建設予算はトンジュ頼みであり、彼らの意向を無視できない。

だからといって党の方針に逆らうわけにもいかない住宅配定処の住宅指導員は、トンジュに地下倉庫を半地下部屋に改造させた上で、元兵士たちに割り当てているという。

「平壌には、何万ドルもするマンションを何戸も所有してカネ儲けする人もいる一方で、一戸建てで貧しく暮らす貧困層も多い。平壌は幹部にとって天国だが、地方より貧富の差が激しく、庶民にとっては暮らしにくいところだ」(情報筋)