9月20日から北朝鮮で秋の収穫が公式に始まった。しかし、北朝鮮の協同農場らは食糧泥棒との戦争中だ。協同農場の水田と畑では収穫物を急いで運ぶ農場園らだけでなく、鋭い目つきで作業場周辺を監視する人々がいる。彼らは泥棒を監視する警備人だ。

警備人が登場したのは1990年代の初め。国家の食糧供給が切れ食糧不足が顕著化し、協同農場からコメやトウモロコシを盗む泥棒が現れ始めた。軍人だけでなく一般住民も協同農場の収穫物を狙った。

個人の土地から盗んだのが見つかると、保安員(警察)に捕まり拘留場に送られる。防犯対策で個人の農家らが共同で警備を行うが、彼らに見つかった場合には滅多打ちにされるのも覚悟しなければならない。

個人の土地の警備が強化された為、協同農場がターゲットになった。協同農場は共同財産である為、必死に守ろうとする人はいない。作業班長が農場員に指示はするが、自分の農地並みに気を使う事は無い。

北朝鮮当局は協同農場の防犯目的で1994年から「国家財産を侵害する者に対し厳罰に処する」という警告文を発表した。これに加え1996年からは農場監視隊と労働者監視隊を組織し、協同農場の公式警備を配置した。

警備人には3つのケースがある。1:協同農場から公式に協力要請を受けた近隣の軍部隊の軍人。2:協同農場が独自に組織した農場監視隊。3:該当地域の人民保安所に所属した労働者監視隊。彼らは国家財産の警備という共同の目標を追求しているが、実際の活動は違うようだ。

軍人警備チームは、強盗、強姦、軍と民の問題、軍内部での犯罪の取り締まりを行う「4.5常務」所属の軍人で組織されている。理念は人民の財産は人民の軍隊が守るだ。この活動はトマトやキュウリの収穫期の7月から開始される。

主な任務は農村と都市に続く路上で農村から出荷される農作物の取締りを行う。リュックを背負った人や自転車に乗った人を呼び止め、農作物の出所や用途を尋ねる。協同農場からの窃盗や不法取引が発覚すれば、全部を没収する。

しかし、取り締まりにあっても賄賂で誤魔化す事が多発している。軍人としては、農作物を農家に帰してもアリガトウの一言で何の得にもならないからだ。

農場が独自で運営する監視隊は、軍服務を終えた人々からなる。彼らはトウモロコシの出始が始る8月中旬から本格的に活動する。3人一組で編成され、3日に1度の勤務を行う。農場員の退勤後から翌朝の出勤まで協同農場の収穫物を警備している。

彼らもまた、軍人と同じで、必死に働いたところで配給量に少し色がつくだけで、やはり皆がそれぞれ独自に収益を得る努力をしている。

農場の監視隊の場合は泥棒と内密しているケースが多い。多額の賄賂を要求する事は無いが、盗み出す量の調節を行う。目立った量がなくなると、自分の立場が危うくなるからだ。

彼らへの賄賂には酒、ツマミ、タバコ程度で済む。また、現金を渡す場合もある。1万ウォン〜1万5千ウォンで買収することができる。

警備に動員される人民保安所傘下の労働者監視隊も同じだ。作業班班長や分班長に賄賂を送り、キムチ用の野菜や穀物の横流しや、取り締まりで得た農産物を闇市場に流している。

秋の収穫期に協同農場は共有地に豹変する。そして、一番の問題は一般の農場員だけが、被害を被っているということだ。

北朝鮮の実際の収穫量は当局の推定を遥かに下回る。水増しで収穫量が報告されているだけでなく、収穫すらも幹部が横領している。農場員が常に腹を空かしている理由がここにあるのだ。

    関連記事