北朝鮮で、コメ価格をはじめとする市場物価がおおむね安定しているとデイリーNKの内部情報筋が伝えてきた。
?情報筋によると平壌、新義州(シニジュ)、恵山(ヘサン)などの地域のコメ価格は5,000円ウォン前後で安定を維持しているという。それ以外の他の商品価格の変動もあまり見られないとのことだ。
現在の北朝鮮のコメ価格は、約5,000ウォンぐらいだ。毎年、正月(1月1日)や2月16日(故金正日氏の生誕記念日)などの祝日を前にすると全体的に需要が増加し、コメ価格は、1割から2割(500ウォン〜1,000ウォン)ほど上昇する傾向にあった。
また、この時期は「堆肥戦闘」などに多くの住民が動員されることから市場活動は停滞せざるをえない。昨年は全国的に「干ばつ」もひどかったことから、食糧事情は不安視されていた。
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物価に悪影響を与える複数のマイナス要因があるにもかかわらず、安定している背景には複数の要因がある。
まず、干ばつによる悪影響はあったが、一部の農場地域では比較的、収穫が良く、年末にはロシアから5万トンのコメが支援されたという。さらに北朝鮮当局の配給も比較的安定しているとのことだ。
「平壌市や両江道(リャンガンド)の恵山鉱山、咸鏡北道(ハムギョンブクト)の茂山鉱山なでの地域でも配給が行われた」
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面「両江道でも昨年は3,4月分のジャガイモが配給があったことから、住民生活の足しになっていることは間違いない」(情報筋)
物価安定の背景には「供給の安定」があると見られるが、それ以上に「市場システムの安定化」が見逃せないと情報筋は指摘する。
市場システムの安定化が物価安定につながる
「過去に比べて、食料や工業製??品を供給するルートが拡大化、多様化されたことで市場の供給が安定している」(情報筋)
人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面こうしたことから短期的なマイナス要因に左右されず、物価も維持されているというわけだ。
「供給システムは、以前は中国からの輸入と密輸に依存していたが、最近では??北朝鮮国内での家内手工業や新興富裕層の製造ビジネスが活性化している。全体的に市場の供給が円滑に行われている」(情報筋)
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今のところ安定している食糧事情と物価だが、不安材料がないわけではない。
ポリコゲ(春窮期)が始まる4月ごろには、コメ価格が上昇するのではないかとの見方もある。仮に、この前後にコメ需要が増加し、さらに北朝鮮当局の配給が滞った場合、コメ価格が影響を受ける可能性も残している。