そのような本質に目を向けず安易な核武装論を唱え、北朝鮮の独裁者だけでなく抑圧された国民にまで狙いを定めようとする韓国の世論に、筆者は失望を禁じ得ない。
そもそも、核武装を実現できるほどの政治的な努力と予算を投じれば、北朝鮮を民主化に向けて大きく動かすことだって可能なはずだ。そのような声が大きくならず、安易な核武装論が頭をもたげる背景には、「どうして我々の血税で、北の連中を幸せにしてやらねばならないのか」という、いたって当然な庶民感情があるのかもしれない。
しかし、そのような民主主義の弱点を金正恩氏に見透かされているとすれば、北朝鮮国民と諸外国の国民の利害はバラバラに分断され、金正恩氏の思うつぼにハマりかねない。