一方、国連安保理の対北朝鮮制裁2094号が採択された2013年には、物価は11.2%、為替レートは2.7%下落し、制裁2270号が採択された2016年には物価は1.4%下落、為替レートは0.3%の上昇に留まった。
つまり、国際社会の経済制裁も、北朝鮮の市場に影響がなければ、物価や為替レートにも変化が現れないということだ。この数字を見る限り、核兵器やミサイルの開発に狙いを定め、民政への影響は少なくするという制裁の基本方針が順調に進んでいるように見える。
2016年の北朝鮮経済は両面性を持つ。農業生産や対外貿易が振るわなかった2015年とさほど改善がなかったため「不況が続いている」と言える。その一方で、国際社会の制裁など様々な悪条件にもかかわらず、経済がさほどダメージを受けておらず「経済状況は良好」とも言える。市場が円滑に機能したためと思われる。