北朝鮮が、国際社会の経済制裁の強化にもかかわらず、持ちこたえられたのは市場経済、すなわち草の根資本主義の成長によるものとの分析結果が発表された。

韓国開発研究院(KDI)のイ・ジョンギュ研究委員は、KDI北朝鮮経済レビュー1月号に「北朝鮮の主要経済政策の動向:2016年の評価と2017年の展望」という論文を掲載した。

金正恩党委員長は2015年の新年の辞で、自強力第一主義というスローガンを掲げ、原材料や設備の国産化を進めることを訴えた。それが形として現れたのが、北朝鮮当局が昨年展開した大増産運動の70日戦闘と200日戦闘だとイ委員は述べている。つまり、勤労動員を利用した景気浮揚策だということだ。

北朝鮮は経済が困難に直面したり、成果を無理に達成する必要に迫られた時、このような勤労動員を活用してきたが、1年の74%にあたる270日という長期間にわたり行われたことで、疲弊をもたらした。

200日戦闘は、途中でハコモノの建設から、災害復旧に方向性を転換した。目に見える成果が現れた一方、70日戦闘は成果を確認するのが困難だとしている。

イ委員は、このような人為的な政策より、北朝鮮に対する国際社会の経済制裁の影響を市場が緩和し、また当局が市場に対する無理な統制を行わなかったことも肯定的な影響を与えたと思われると述べた。

統制が物価に悪影響を及ぼした例としてイ委員は、デイリーNKが定期的に行っている北朝鮮3都市の物価と為替レートの数値を引用し、2011年の第4四半期の状況を挙げた。金正日氏の哀悼期間となり、市場の営業時間が制限されたため、物価は56.6%、為替レートは48.4%上昇した。

一方、国連安保理の対北朝鮮制裁2094号が採択された2013年には、物価は11.2%、為替レートは2.7%下落し、制裁2270号が採択された2016年には物価は1.4%下落、為替レートは0.3%の上昇に留まった。

つまり、国際社会の経済制裁も、北朝鮮の市場に影響がなければ、物価や為替レートにも変化が現れないということだ。この数字を見る限り、核兵器やミサイルの開発に狙いを定め、民政への影響は少なくするという制裁の基本方針が順調に進んでいるように見える。

2016年の北朝鮮経済は両面性を持つ。農業生産や対外貿易が振るわなかった2015年とさほど改善がなかったため「不況が続いている」と言える。その一方で、国際社会の制裁など様々な悪条件にもかかわらず、経済がさほどダメージを受けておらず「経済状況は良好」とも言える。市場が円滑に機能したためと思われる。

2017年の経済政策は内需に重点を置いたものになる可能性が高い。一方で、昨年のような大々的な勤労動員は、市場を萎縮させるため、北朝鮮当局の「悩みが深まるだろう」とイ委員は見ている。

また、内需の拡大により、海外からの原材料の輸入が増加し、さらなる外貨不足に陥る悪循環を断つために、国産化が可能か否かを品目別に判定し、可能なものの関税を上げて輸入を抑える方式の導入もありうると見ている。

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