家に戻った父は、「この国に未来はない。脱北しよう」と家族を説得した。そして、1998年に一家全員で中国へと脱出した。
「韓国に行けば臓器と血を抜かれて殺される」
そんなプロパガンダが信じられていた当時、一家は韓国行きを考えず、中国にとどまっていた。しかし、様々な情報に接して、徐々に韓国の実情への理解が進み、韓国に行くことを決意。ベトナム経由で韓国に入国した。カンさんが16歳のときのことだった。
プロのラッパーに
韓国の弘益大学に在学中だった2014年、カンさんは韓国の音楽専門チャンネルMNetのヒップホップオーディション番組「Show me the money」に応募した。3000人以上のラッパーとの競争を勝ち抜き、1回目のオーディションの合格者96人の中の1人となった。