家族の切実な思いは理解できる。しかし北朝鮮に飲ませるべき問題は、核・ミサイルの放棄と、日本人拉致の清算だけではない。北朝鮮国内での人権侵害を止めさせることも、同様に重要な課題としてあるのだ。拉致問題だけをもって日本が独自に交渉するとなれば、国際的な足並みを乱していると見なされかねない。なによりも、北朝鮮の国家的な人権侵害を国連で告発し、国際的なイシューとしてきたのは日本政府である。
(参考記事:北朝鮮「核の暴走」の裏に拷問・強姦・公開処刑)冷静に見れば、日本政府に「打つ手無し」というのが現状なのかもしれない。被害者家族から「会えなかったら誰が責任を取るのか」という声まで出ているのは、「最重要課題」と言いながらも、まったく結果を出せていない政府に対する苛立ちなのかもしれない。一部からは「自衛隊を派遣して拉致被害者を救出すべき!」という強硬論も出ているが、これが非現実的であることは、過去にも本欄で指摘した。
(参考記事:自衛隊は絶対に「拉致被害者」を救出できない)安倍首相は19日、国連総会に出席するため、米ニューヨークに到着した。
