それでも2014年にストックホルム合意がなされた時は、8年経ってようやく制裁から拉致解決を導き出すスキームの効果が表れたという評価もあった。しかし、再調査の中身やストックホルム合意自体の解釈をめぐって、両国の溝は深まり、2年以上経っても進展を見せなかった。
さらに、北朝鮮は今年1月と2月、核実験と長距離弾道ミサイルの発射実験を強行。これに対して日本政府は追加制裁措置を決定するが、北朝鮮は対抗として拉致被害者など日本人に関する包括的な調査を全面中止し、「特別調査委員会」を解体すると発表。「重大な悪結果を生じさせた全責任は、安倍政権が負わなければならない」と、安倍政権を名指しで非難した。先月には、「拉致問題は解決済み」との立場を示すなど、北朝鮮は従来の頑なな姿勢に戻った。
(参考記事:北朝鮮、ストックホルム合意を破棄か…「拉致被害者調査」の全面中止)なによりも、二国間における交渉が厳しくなるなか、金正恩体制は核実験とミサイル発射を継続している。国際的な制裁が効果を出せていない状況下で、北朝鮮の姿勢を改めさせることは極めて困難になっていることは言うまでもない。
非現実的な自衛隊による救出作戦
厳しい状況をむかえるなか、拉致被害者の家族は、政府に「核問題と切り離して拉致を最重要課題として取り組んでいただきたい」と求めた。
