このような条件にある都市の市場で、人民元が今や「通貨」となっていることは秘密ではなく「常識」だ。ソバ一杯の値段も「80銭(8角=約12円)」と人民元で価格設定されており、住民はしわしわの「1角(0.1元)、5角(0.5元)」の紙幣を大事に持ち歩く。(※中国に「銭」という単位は存在しないが、北朝鮮ではこう呼んでいる)
だが、北朝鮮当局は北朝鮮ウォンへの信頼が下がることへの不安や、「資本主義に染まる」などという理由から、一般住民が市場で外貨を遣う事をかたく禁じ、上記のように取締りを行っている。
外貨の流通を禁止したいのならば、取り締まるのではなく、ウォンの信頼を取り戻すために現実的な経済措置を採ればよいのだが、党資金の確保やミサイル開発に余念が無い北朝鮮当局にその余力はなく、意味のない取締りを繰り返すのが精いっぱいだ。
そもそも、ウォンの信頼低下を決定付けた「犯人」は金正恩氏の父、故金正日総書記だ。