知ってのとおり、金正恩氏の権力を最も強く担保しているのは「恐怖政治」であり、その有力な手段が政治犯収容所と公開処刑だ。それらの凄惨な実態は、国連における日本政府の努力もあって、世界に広く知られることとなった。

(参考資料:第31回人権理事会における北朝鮮人権状況決議の採択【外務大臣談話】

しかしそれだけに、北朝鮮の人権問題が改善されない中で、日本が国交正常化や経済支援に向け「独走」することは、過去に比べてずっと難しくなった。

もちろん、日本政府が最優先すべきは日本国民の生命であろう。筆者はその点を決して否定しない。率直に言ってしまえば、北朝鮮との「裏取引」だって状況次第では許されると思っている。

懸念しているのは、従来の見解を繰り返す日本政府の姿勢に、「努力しているふり」でお茶をにごしているだけのような気がすることだ。

小泉純一郎元首相が2度にわたり訪朝した金正日時代と比べ、北朝鮮情勢は大きく変化している。安倍首相はその変化を踏まえ、新たなビジョンを示すべきではないか。