朝鮮労働党第7回大会を控え、北朝鮮の金正恩第1書記は「すべての家庭に党の配慮を実質的に感じさせよ」との指示を下した。これは「配給を行って民心を掌握せよ」との意味だが、金正恩氏の目論見通りには行かなさそうだ。

平安南道(ピョンアンナムド)のデイリーNK内部情報筋によると、北朝鮮では現在、2月末から行われてきた「70日戦闘」の総和(総括)が行われている。ここで「模範」と認められた個人や単位(機関、企業)には液晶テレビが授与されるとの発表があった。

この話がどういうわけか「すべての家庭に電化製品が配られる」という噂に転じてしまった。さらに、輸入された商品を満載した平壌行きの列車や、食糧を積んだトラックが行き交っていることで、噂が噂を呼び「党大会の参加者には45インチの高級液晶テレビ、冷蔵庫、パソコンが配られる」という荒唐無稽な噂へと発展した。

両江道(リャンガンド)の情報筋によると、当局は、党大会の参加者に洋服、靴、下着、化粧品、キャリーバッグを配給した。こちらの参加者は3000人ほどだが、北朝鮮の総人口は2500万人。すべての人に電化製品を配ることなど到底ムリな話だ。

いずれにせよ不満は高まる

人々の期待が高まれば高まるほど、当局は苦しい立場に追い込まれる。

配給が行わなれなかったり、期待以下のものだったとすると「どうせそんなことだと思った」などと不満が続出するからだ。

もっとも、実際に高価なものが配られたとしても「どうして今までくれなかったんだ」「どうせ我々が流した血と汗で買ったに違いない」「70日戦闘での苦労と釣り合わない」などといった不満が出るだろう。どう転んでも、不満が高まるのだ。

このような「特別配給」は北朝鮮の民心掌握術の一つだ。砂糖、油、肉、酒、タバコなどが配給されてきたが、90年代末の大飢饉「苦難の行軍」以降は大したものが配られなくなった。

また、子どもたちに配られるお菓子セットも「不味い」と大不評で、「配らないほうがまだマシ」という状況になっている。

不満を抑える唯一の方法は、党大会で「改革開放」を宣言することだろう。

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