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当面の動きは、経済制裁で止めることはできないだろう。彼らが核兵器開発を行っているのは久しく前から分かっていたのに、どうしてこんなことになってしまったのか。その答えのひとつは、日米韓などが長きにわたり、北朝鮮を「追い詰めているフリ」をしてお茶を濁してきたことにある。

独裁国家の富は権力者に集まる。国連制裁は確実に北朝鮮経済を苦しめているが、特権階級は比較的打たれ強い。民が苦しんでいても、民主的な選挙がないから政権を失う心配もない。大衆がデモなどを行えば、軍隊を送り込んで殺してしまうか、政治犯収容所で処刑してしまえばよいのだ。

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(参考記事:赤ん坊は犬のエサに投げ込まれた…北朝鮮「政治犯収容所」の実態

つまり、金正恩氏の「核の暴走」は、北朝鮮の極度に非民主的な体制と不可分であり、彼の暴走を止めるためには究極的には北朝鮮の民主化が必要だということだ。しかし、ことここに及んでも、北朝鮮の民主化――すなわち体制変更は、なかなか議論に上らない。このままでは、核兵器という最強の恫喝手段を備え、より手の付けられなくなった金正恩氏と、われわれは向き合うことになるかもしれない。

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(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由

高英起(コウ・ヨンギ)

1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。

脱北者が明かす北朝鮮 (別冊宝島 2516) 北朝鮮ポップスの世界 金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔 (宝島社新書) コチェビよ、脱北の河を渡れ―中朝国境滞在記