北朝鮮の平壌や各地方の主要都市に存在する外貨ショップ。駐在外交官や外国人観光客だけでなく、国内の高級幹部やトンジュ(金主:新興富裕層)のニーズに合わせた高級商品を取り揃えている。その目的は、外貨を使わせ国庫に集めることだ。

この外貨ショップの仕入れ方式が、今後変わる見込みだという。そして、はやくも経営難を懸念する声が上がっている。詳細を米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。

北朝鮮に外貨ショップができたのは1975年。外貨事情の悪化を打開するために営業が開始され、当初は外国人が対象だった。北朝鮮住民の利用が認められるようになったのは、1986年からだ。

様々な国家機関が経営する外貨ショップは、国から一方的に供給される高級商品を売るだけで、どこに言っても同じ品揃えだった。しかし、経営権が支配人に任されるようになってから状況が一変する。

支配人はヤミ金や自力で調達した資金で、中国に売れ筋の商品を買い付けに行くようになった。つまり、支配者の手腕次第で売上が左右されるようになったのだ。少しでも多く儲けるために、各外貨ショップは、旧正月や年末の前になると、様々な趣向を凝らして商戦を繰り広げるようになった。

支配人は、販売利益の大部分を国に収め、残りを収入として得る。売れば売るほど儲かるというわけだ。こうして資本を蓄積した支配人たちは、自らもヤミ金業を営んだり、不動産に投資するなど事業を多角化しながら、トンジュとなっていく。

しかし、この外貨ショップの仕入れシステムが抜本的に変更になるというのだ。

中国の対北朝鮮情報筋が北朝鮮の貿易機関の幹部から次のような話を聞いたという。

「今後は支配人が、販売する商品のリストを道や市の貿易局に提出し、国営の貿易会社が商品を輸入し、ショップに供給する形に変更される見通しだ」(中国の対北情報筋)

つまり、支配人が売る商品を選択する余地が狭まってしまうのだ。

希望する商品が仕入れられるかどうかは不明で、最悪の場合、売れない商品ばかりが店頭に並ぶ可能性も出てきた。対北情報筋も「仕入れがまともに行われるか疑問だ」と、外貨ショップの将来を不安視する。

平壌情報筋は、「今回の措置は事実上、当局による外貨ショップ経営権の接収だ。国の外貨事情が逼迫しているからだろう」と述べる。しかし、高額の収入を得ていた支配人の収入は激減し、モチベーションが下がることは確実だ。そうなると、外貨ショップが立ち行かなくなるおそれがある。

さらに、北朝鮮当局も自分で自分の首を絞める結果になりかねない。

外貨ショップの品揃えが少なくなると、高級幹部やトンジュなどの客層は、一般庶民が利用する「統合市場」に流れるだろう。そうなれば、さらに国庫に外貨が入らなくなるのだ。

新システムがいつ施行されるかは不明だが、5月の朝鮮労働党第7回大会終了後に施行される可能性が高いと情報筋は述べた。この愚かしい措置が誰の指示によるものかについては、言及していない。

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