北朝鮮では、冬になると市場から果物が消えることから、国内産だけでは富裕層の需要を満たすことはできない。一方、中国では、真冬の東北地方ですら、ありとあらゆる果物が手に入る。ここに目をつけた貿易会社は、中国から果物を輸入して、北朝鮮の富裕層に売りつけて利益を確保しようとしている。
特に人気が高いのはリンゴ。朝鮮半島では、毎年4月5日頃に「寒食」(ハンシク)というお墓参りの日を迎えるが、保管も販売も楽なリンゴは、お供え物として最適だ。
この時期、リンゴを満載したトラックが新義州(シニジュ)税関から出てくると、卸売り業を営むトンジュ(金主、新興富裕層)たちに取り囲まれる。貿易会社は、その場でトンジュに売り払うのだ。
貿易会社は、80~100人民元(約1350~1690円)で買い付けたリンゴ1箱(25キロ)を、120~150元(約2020~2530円)で販売。一度に輸入する量は70トンで、おおよその粗利は11万2000~14万人民元(約189万~236万円)になる。