北朝鮮当局が、全国の工場、企業所に対して「社名の入った表札を照明付きのものに取り替えよ」との指示を出したと米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)が伝えた。突然の指示に、北朝鮮国内では困惑が広がっているという。

咸鏡北道(ハムギョンブクト)の情報筋によると、清津(チョンジン)市内の中心部では、当局の指示に従い、金日成革命歴史史跡館、保衛部(秘密警察)、保安局(警察)、人民委員会(道庁)などの地方政府の主要機関が照明付きの表札を掲げるようになった。

各機関はそれだけでは飽きたらず、よりきれいな表札にして、上役の覚えをよくしようと「忠誠競争」を繰り広げている。しかし、問題はその費用だ。

慢性的な電力不足で、北朝鮮のなかには、ほぼ電気が供給されない地域も多い。こうした地域で、照明付き表札に付け替えるためには、自家発電設備、主に中国製の太陽熱蓄電池などを導入するしかない。

そのコストは、小型の10ワットで80~100人民元(約1350~1688円)、大型の100ワットになると1000~2000人民元(約16800~33800円)もする。

それだけでなく、小規模な工場では従業員1人あたり少なくとも毎月100人民元を所属する企業所に納めなくてはならない。

人民元100元は、北朝鮮のある工場の月給2年3ヶ月分に相当する。なんらかのサイドビジネスをしない限り、絶対に払えない金額だ。普段から銅像建設費、道路改修費など様々な名目でカネをむしり取られている従業員にとって、泣きっ面に蜂だ。

おそらく、強制的に太陽光発電を導入させ、電気を自力更生させる。そのうえで『金正恩元帥のおかげで町が明るくなった』というプロパガンダのネタにするのが当局の狙いと見られる。

しかし、ほとんどの工場では、そもそも新しい表札を購入する予算がなく指示通りには進んでいない。余裕のない小さな工場は、取り締まりを避けて、路地の奥の方に入り口を付け替えたり、引っ越したりするなど、アクロバティックな対応をしているという。

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