ひとつはここまで述べた通り、北朝鮮の核攻撃能力の向上だ。そしてもうひとつは、そのような脅威にさらされた日米韓が、北朝鮮に対する先制攻撃オプションに傾斜することによって生じるものだ。
有事に際し、北朝鮮の核攻撃能力を殺ぐためには、米国製のF-22やF-35といったステルス機による敵基地攻撃能力の向上が議論されることになる。そして、そのことが北朝鮮をさらに刺激し、緊張が激化していく。
(参考記事:在日米軍基地への攻撃を示唆…北朝鮮メディア)繰り返し言うが、朝鮮半島と日本を取り巻く軍事情勢は、かなりのスピードで変化している。不安要素を最少化するためにも、金正恩氏の情勢観や世界観に対する分析の必要性が高まっている。
(参考記事:徐々にわかってきた金正恩氏の「ヤバさ」の本質)(参考記事:金正恩氏が「暴走」をやめられない本当の理由)
高英起(コウ・ヨンギ)
1966年、大阪生まれの在日コリアン2世。北朝鮮情報専門サイト「デイリーNKジャパン」編集長。北朝鮮問題を中心にフリージャーナリストとして週刊誌などで取材活動を続けながら、テレビやラジオのコメンテーターも務める。主な著作に 『脱北者が明かす北朝鮮』 、 『北朝鮮ポップスの世界』 (共著) 、 『金正恩 核を持つお坊ちゃまくん、その素顔』 、 『コチェビよ、脱北の河を渡れ ―中朝国境滞在記―』 など。