これくらいのことは、バカでない限り誰にでもわかる。もちろん金正恩氏だってわかっているはずで、彼が期待しない以上、「国交正常化」が日本側の交渉のカードになるはずがないのだ。
高学歴のエリートである日本の新聞記者たちに、これしきのことが理解できないはずはない。理解しているくせに、「国交正常化などムリ」とは書かない。だから「かまとと」だというのだ。
重大なのは、エリート記者の「かまとと」は非常に罪深いということだ。
彼らが国交正常化を前提とした交渉を「粘り強く続けろ」などと書くから、日本政府はそれに乗って、拉致問題解決のために「努力をしているふり」を続ける。それでたまに政権の支持率が上がることはあっても、拉致問題解決の日はいっこうに近付いて来ない。拉致被害者の家族たちだけが「生殺し」になる構図だ。
だからといって、私は北朝鮮との交渉を止めてしまえと言いたいわけではない。軍事的な解決はムリなのだから、やはり話し合いは必要だ。
(参考記事:自衛隊は絶対に「拉致被害者」を救出できない)人気記事:「女性16人」を並ばせた、金正恩“残酷ショー”の衝撃場面
それに、生存しているかも知れない拉致被害者の命には限りがある。北朝鮮の体制が変化するのを、気長に待ってなどいられない。